2025年5月22日、香港メディア・香港01は、米中両国の対抗の中で、レアアースが中国にとっての「切り札」になっていると報じた。

記事は、米中両国が先日スイスで関税引き下げに関する合意に至った一方で、中国は引き続きレアアースなどの戦略鉱物の輸出規制を強化していると指摘。

規制強化の流れの中で、3月には香港で軍事利用もされるレアアースであるアンチモンを医療設備に偽装して米国に密輸しようとして摘発される事案も起きたと伝えた。

そして、密輸事案の発生は米国の製造業者がレアアースなど重要鉱物の供給で大きな圧力を受けていることの表れだとし、米国がレアアースの約70%を中国に依存していることに言及。中国人民大学経済学院の王孝松(ワン・シャオソン)教授が中国のレアアースが米国のF-35戦闘機やミサイルの製造に大きな影響を及ぼしているとの見方を示したことや、米電気自動車(EV)大手テスラが人型ロボット製造において中国産レアアースの輸出規制による影響の存在を明らかにしたことを紹介している。

一方、中国のレアアース精錬能力は世界全体の92%を占めており、採掘能力や加工能力も他国を遥かにしのいでいると指摘。アナリストからは「米国のレアアース分離・精錬技術は中国より20年遅れている」「米国がこの分野で中国と主導的地位を争うことはほぼ不可能」との見方が出ていることを伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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