中国科学院国家天文台の韓金林研究員が率いる研究チームは、中国の電波望遠鏡「天眼」(FAST)を使用して、非常にまれなタイプの「ミリ秒パルサー」を観測しました。このパルサーは伴星と3時間36分の周期で互いに公転し、周期の6分の1は日食や月食のように、伴星によって覆われている「掩食(えんしょく)」現象が見られます。
同研究チームがFASTを使用して銀河系のパルサーの詳細な探査を行っていたところ、自転周期10.55ミリ秒のミリ秒パルサーを観測しました。数回にわたる検証観測の結果、このミリ秒パルサーが半径50万キロの高密度の軌道上にあること、伴星の周囲を公転する周期はわずか3時間36分で、各周期の約6分の1が伴星と軌道が重なり合っていることを確認しました。推定によると、この伴星の質量は少なくとも太陽1個分に相当し、通常の掩食パルサーの伴星をはるかに上回っています。しかし、その狭い軌道には、太陽のような恒星を収容する余地がまったくないことから、「さまざまな制約から推定すると、この伴星は通常の恒星でもなければ、進化を遂げた高密度星でもなく、共通外層の進化段階を経て、外層のガスを剥ぎ取られた恒星の核、つまり高温のヘリウム星であると考えられます。パルサーの電波が遮られるのは、このヘリウム星が放出する恒星風の物質によって引き起こされている」としています。

この種の特殊な連星系は極めてまれで、観測も困難です。なぜなら、宇宙における寿命がわずか1000万年ほどと短く、138億年の宇宙の歴史の中では、まるで夜空に一瞬で消える流れ星のような存在だからです。
この研究チームが行ったシミュレーション分析によると、銀河系に存在するおよそ2000億個の恒星の中で、現在このような星系は数十個しか存在しないと見られています。(提供/CRI)