中国北西部の新疆ウイグル自治区ボルタラ蒙古自治州文物調査チームはこのほど、同自治区にある天山山脈奥地のサリム湖北岸で考古学調査を実施したところ、今から2500年前の古代岩絵(岩壁や露岩に表現された絵の総称)を計30枚発見しました。この岩絵群は、90度近く切り立った崖の上に位置し、動物や人物、狩猟の場面が描かれており、岩絵の中にあるヤギ族のシベリアアイベックス、アルガリなどの動物のイメージにより、この地がかつては草の豊かな牧場であったことが示されています。
サリム湖地域における古代岩絵群の発見は、1988年に文化財の一般調査を行って以来、初めてのことです。サリム湖の岩絵は、一本の線で輪郭を描き、二本の線で塗りつぶすスタイルで、最も代表的なものは「弓を引く狩猟」で、描かれた人物が手にしている「非対称型リカーブボウ(反りのある弓)」は考古学的な比較と年代測定を経て、今から約2500年前にさかのぼる作品であることが確認されました。これは、青銅器時代にユーラシア草原文化が東へ広がったことを証明する重要な証拠となっています。
調査チームは衛星映像、地図を用いた事前の分析と実地調査を通じて岩絵の位置を発見し、特定しました。調査によると、この岩絵群は多様な芸術表現形式を持ち、一部には重圧による損傷現象が見られ、岩絵の創作が長い時期を経て制作されたことを証明しています。岩絵の中のシベリアアイベックス、アルガリなど動物のイメージにより、地元は草の豊かな牧場であったことが示され、この発見はユーラシア草原文化の伝播を研究するために新しい手掛かりを提供しました。(提供/CRI)