中国メディアの環球時報は21日、「なぜ米国は5分で充電できる電気自動車(EV)充電チャージャーを作れないのか」とする米ニューヨーク・タイムズの記事を紹介した。
記事はまず、「中国は世界のEV市場を席巻している。
記事によると、中国の大手2社が今春、5分の充電で数百マイル走行を可能にする画期的な進歩を発表した。中国を訪れ、比亜迪(BYD)の新型急速充電車を試乗したInsideEVsの編集長、パトリック・ジョージ氏は、中国のモデルについて「世界の他の国々より1世代か2世代先を進んでいる」と語る。
記事は「5分充電が、米国のドライバーのEVに対する態度をどのように変えるかは容易に想像できる」とし、「広く利用可能な電源と、ガソリンを満タンにするのとほぼ同じ充電時間は、多くの人がEVへの移行のハードルとして挙げる航続距離への不安を大幅に軽減するだろう」と伝えた。
一方で、「アナリストによると、米国の自動車購入者が5分充電を利用できるのは当分先になりそうだ」とも伝えた。
記事によると、BYDの急速充電システムは、急速充電が可能な車両と、それに応じた電力を電力網から供給できる充電器という2つの要素に依存している。世界最大のEVメーカーであるBYDは、ピーク充電容量1000キロワット(1メガワット)のバッテリーを開発した。このピークレートでは、5分間で約250マイル(約400キロメートル)走行するのに十分な充電が可能だ。米国で販売されているほとんどのEVは、400キロワット未満のピークレートで充電できる。
記事によると、調査会社ブルームバーグNEFの充電インフラ責任者、ライアン・フィッシャー氏は「これは大きな飛躍であり、業界他社のほぼ3倍に相当する」と語る。
記事によると、中国はバッテリーを含む多くのクリーンエネルギー技術における高品質な特許取得において世界をリードしている。トランプ大統領と前任者が中国製EVなどの製品に課した法外な関税のため、米国では現在、中国ブランドの車はほとんど販売されていない。
記事によると、BYDは中国国内に4000基の「メガワット・フラッシュ充電」ステーションを建設すると約束した。中国ではこうした高出力ステーションの建設が米国に比べてよりスムーズに進むとみられる。コンサルティング会社オートモビリティ・リミテッドの創業者兼最高経営責任者(CEO)、ビル・ルッソ氏は、中国政府がEV充電ステーションを重要なインフラとして扱っていることは米国が高速道路のメンテナンスを扱っているのと似ていると語る。ルッソ氏は「これにより、中国は電力網に直接、場合によっては高圧線にさえも、高出力充電ハブを建設できる。米国では通常、地方の電力会社による電力網の高度化に悩まされるような遅延を回避できる」とし、「中国では物事がよりスムーズに進むのだ」と付言した。
記事によると、米国では、バイデン政権下でのEV充電チャージャーの整備を加速させる取り組みが、トランプ政権によって今年一時停止され、今月になってようやく再開された。トランプ氏によるEV産業支援政策の積極的な撤回が、米国におけるEV産業の成長をどの程度鈍化させるかは不透明だ。
記事によると、ルッソ氏は「長期的に見ると、中国の今日の成功の大きな要因は、充電ネットワークへの先行投資にある」とし、「中国は市場がまだ存在しない時代にインフラに多額の投資を行った。インフラへの投資なしには市場は生まれないことを知っていたからだ」と語る。(翻訳・編集/柳川)