2025年9月4日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、生産過剰が取り沙汰されている中国産太陽光パネルについて、アフリカ向けの輸出が急増していると報じた。
記事は、エネルギー分野のシンクタンク「Ember」の最新報告によると、昨年7月1日から今年6月30日までの1年間で、アフリカ諸国が中国から輸入した太陽光パネルは前年同期比60%増の1万5032メガワット(MW)にまで拡大したことが明らかになったと紹介。
輸入量では、2023年のエネルギー危機以降輸入が拡大した南アフリカが3784MWで依然トップであるものの、今回の輸入増は南アフリカ以外の地域で広範に起きていると指摘。ナイジェリアが1721MWで2位、アルジェリアが1199MWで3位となり、以下モロッコ、エジプト、チュニジア、セネガル、ザンビアと続いたと紹介している。
また、中国製太陽光パネルの輸入増により、アフリカ諸国では発電量の大幅増が期待されるほか、ディーゼル燃料への依存低減や発電コスト低下というメリットももたらすとした。
一方で、中国側から見ると、太陽光産業が深刻な生産能力過剰、激しい価格競争、欧米の貿易制裁という三重苦に直面する中でアフリカへの輸出を強化していると解説。ジンコソーラーの売上が前年同期比68.77%減となるなど、コスト割れの低価格販売により利益が出ない中国太陽光パネル大手の苦況を伝えた。
記事はその上で、アフリカは当面中国の過剰生産能力の「受け皿」にはなれないと指摘。多くの国のエネルギーインフラがなおも石炭に大きく依存しており、再生可能エネルギーへの投資ペースが遅いこと、そして技術的なボトルネックが大規模な太陽光設備の導入を妨げているとした。
また、ナイジェリアや南アフリカが中国産太陽光パネルに10%の関税を課すなど、アフリカ地域で自国産業を保護する政策が拡大しつつあることも障壁の一つとして言及している。
記事は、中国企業がアフリカ市場で成功するためには単なる製品輸出に依存せず、生産能力の一部を現地に移転したり、蓄電技術や金融サービスを提供したり、現地の送電網建設を支援したりするなど、より包括的な解決策を提供する必要があるという専門家の意見を紹介した。(編集・翻訳/川尻)