河南省鄭州市内で14日午前10時ごろ、街頭でポン菓子の製造機器具が爆発した。実演販売していた男性は破片を浴びて顔やあごにけがをした。
ひびが入った器具をそのまま使っていたことが事故に結びついたと考えられている。鳳凰網などが報じた。

 ポン菓子は、米やトウモロコシなどの穀物を、丈夫な鉄製容器の中に密閉し、火であぶってつくる。内部は高圧になり、容器のふたを開けると、粒の中に残っていた水分が気化して急膨張。「ドン」という音とともに大きく膨らんでできる。トウモロコシで作った場合には、ポップコーンとほぼ同じ食べ物になる。

 湯さんは河南省開封市の農村部出身で、一家で鄭州市内に出てきて街頭でポン菓子を実演販売していた。いつものように家を出て、午前10時ごろには、いつものように実演販売の場所についた。湯さんは炉に火をおこし、ポン菓子を製造する鉄製器具のふたをあけて材料のトウモロコシを入れた。ふたをしっかり閉じて、器具を炉の上にかざした。

 焦げつかないようにまわしながら器具を熱した。いつも通りの手順だった。
ところが、圧力計の針が、あまり上がらない。器具からは白煙が出はじめた。周囲にいる人が「漏れているんじゃないかい」などと言い出だした。湯さんが器具を確かめようと火から下ろしたとたん、「ガン!」という音をたてて爆発した。

 湯さんはその場で気絶した。近くで電動自転車の修理をしていた男性も大音響に驚き、「気絶する寸前だった」という。湯さんの周辺には器具の破片が飛び散った。爆発で内部圧力が急減したために出来上がったポン菓子も飛び散った。約3メートル離れた建物のガラス製ショーウインドーには器具の破片が当たって、大穴があいた。

 湯さんは顔やあごに負傷して病院に運ばれ治療を受けた。湯さんの娘によると「お父さんは2日ほど前、ポン菓子をつくる器具に亀裂が入っていると言っていました。まさか今日、事故になるとは思っていませんでした」という。


 湯さんの出身地である開封市近郊の農村では、省都の鄭州市に出て「ポン菓子商売」をする人が増えたという。鄭州市では一時期、ポン菓子の実演販売が見られなくなっていたが、最近になって再び増え始めた。ポン菓子ができるときの「ドン!」という大きな音と素朴な味わいに郷愁を感じて、買い求める人が多いからという。

 14日の事故をきっかけに、インターネットでは街頭におけるポン菓子の実演販売の是非について議論が始まった。「人が多い道で、古いポン菓子は似合わない。爆発音が大きすぎる」と批判する若者がいる一方で、「ポン菓子づくりは、自分の幼かった頃を思い出させてくれる。ほかほかのポン菓子は私の記憶の一部分だ。長く伝えてほしい」とポン菓子づくりを支持する年配者もいる。(編集担当:如月隼人)
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