2025年9月9日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは「ドイツの自動車と中国の自動車が対決の時を迎えている」と題した記事を掲載した。
記事は、ミュンヘンで開催中の国際モーターショー(IAA)において中国が最大の話題になっているとした上で、ドイツ紙「南ドイツ新聞」の文章を紹介。
そして、かつての共存関係が崩れ中国メーカーとの競争を余儀なくされているドイツメーカーは高性能な電気自動車(EV)の製造を迫られているものの、その製造に必要な高性能バッテリーの大部分が中国製で占められていることを指摘。バッテリー本体に加えて、生産に必要な原材料も中国が支配する状況を「ドイツメーカーが陥った新たなわな」と形容した。
その上で、3日に北京で行われた戦勝80周年記念軍事パレードで中国、ロシア、北朝鮮の3首脳が並んだ光景に言及し、「もし地政学的要因でグローバルなサプライチェーンが変動すれば、ドイツや欧州の自動車メーカーのEV戦略は一瞬で崩壊しかねない」と指摘。こういった状況を招いたのはドイツメーカー自身であり、経営陣がバッテリーを「いつでも船で運べる重要でない代替可能な部品」と見なし、その生産を他国に任せてきた「致命的な誤判断」のツケであるとの認識を示した。
記事はまた、IAAがドイツと中国の自動車メーカーによる決戦の場になったとオーストリアの公共放送ORFが評したことも紹介。EV、特にバッテリー技術で中国に優位性を奪われた理由を「欧州メーカーが中国市場に参入するため長年技術移転を行ってきた結果」とした上で、BYDなどの中国メーカーがハンガリーで工場建設に着手するなど欧州市場攻略を進めていることを伝えた。
また、市場調査会社JATO Dynamicsのデータで、中国メーカーの欧州市場シェアが今年上半期に4.8%にまで上昇したことに言及し、数字こそまだ大きくないものの「わずか1年でシェアが倍増したという事実に注目すべきだ」と評した。(編集・翻訳/川尻)