2025年9月23日、中国メディアの騰訊汽車は、トヨタが中国で販売チャネルの統合を試みていると報じた。

記事は、複数の消息筋から得た情報として、トヨタ中国が販売チャネルの調整を試み始めており、トヨタ系ディーラーを1カ所しか残さない都市については、その店舗が広汽トヨタと一汽トヨタの両方の全車種を同時に販売する権限を持つようにして各ブランドの「サービス空白地帯」をつくらないようにしていると紹介。

すでに7~8月に約10都市で実施されていると伝えた。

その上で、トヨタの販売チャネル調整、統合の背景には、中国で合弁自動車メーカーのディーラー網が急速に縮小し、販売網から撤退するディーラーが続出していることがあると指摘。中国汽車流通協会の報告では、昨年末時点で合弁ブランドのディーラー総数が前年比で13.5%減少しており、業界関係者からは「今や合弁メーカーの最優先課題は販売台数ではなく、販売チャネルを維持することだ」という声さえ出ているとした。

また、トヨタが中国で展開する広汽トヨタと一汽トヨタの業務統合のうわさは以前から出ており、今年1月にはレビンとカローラといった姉妹車種を統合してどちらか一方のモデル名で販売する可能性があるとの情報も流れたと紹介している。

記事は、今回の試みがトヨタ中国で初めての中国人総経理となった李暉(リー・フイ)氏が推し進めていると紹介する一方で、複数の業界関係者からは「トヨタ、広汽、一汽のいずれも本格実施を決定する権利がない。今回の試みは一時的なもので、持続はしないだろう」との見方が出ていることを伝えた。

さらに、販売チャネル調整、統合が一過性の試みで終わる可能性を示唆する情報として、16年にアウディが同様の試みでディーラーの猛反発に遭うなど、各当事者の利害が複雑に絡む中での販売チャネル統合が困難であること、今年1~6月におけるトヨタ中国の販売台数(レクサス含む)が広汽トヨタで前年同期比2.58%増、一汽トヨタで16%増と、合弁メーカーに逆風が吹き荒れる中で好調を維持していることを伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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