中国広東省の週刊紙、南方週末は23日、「仲介料3万元払って日本へ、技能実習生の異国での『大きな賭け』」と題する記事を配信した。記事には、王京京さんという河南省出身の19歳の女性らが登場する。

王さんの日本での生活はすでに4カ月余りが過ぎた。王さんは来日前に三つの仕事を経験しており、最初の上海での仕事は1日12時間、時給は18元(約370円)だった。1年働いて耐えられなくなり、その後は日本料理店の店員や家政婦派遣会社の仕事に就いたが、思うようにはいかなかったという。

そんな中、王さんは日本の技能実習制度のことをネットで知った。自分と似た経歴の若者が制度を通じて仕事を得ているのを見つけ、王さんも苦労して貯めた3万元(約62万円)を仲介料として支払い日本に渡航。現在は栃木県内の食品会社でハムの加工関連の仕事をしていて、勤務は週に5日、厚生年金や家賃、水道光熱費を差し引いて約18万円が残る。現在の日本語のレベルは基本的な日本語をある程度理解できる日本語能力試験N5レベルだ。仕事で意思疎通が難しい場合は、ジェスチャーを交えて交流している。

一方、遼寧省出身の安城健華さん(29)は大学を卒業してから技能実習生となり、自動販売機のメーカーで働き始めた。来日したのは5年前で、当時はお金を稼ぐと同時に製造業の技術を学びたいと考えたという。

ただ、技能実習生全員が理想の仕事に就けるわけではなく、SNS上には勤務先による搾取や「労働環境が仲介業者の説明と食い違っていた」との報告が寄せられており、3万、4万元(約83万円)の仲介料に「だまされた」と感じる人もいるという。

記事は「技能実習制度を通じて王さんのような大勢の外国人が日本で働いている」と述べ、「かつて技能実習生の仕事は日本人に『危険、汚い、きつい』の『3K』と見なされ、性被害や搾取、賃金未払いなどの問題も起きた。

このため国内外で広く議論を呼び、日本政府は制度の調整を続けてきた」と言及。また、中国農業大学人文・発展学院の花暁波(ホア・シャオボー)副教授が「技能実習制度は更新そのものから見ても実施面から見ても規範化が進み、外国人労働者の労働環境が全体的に改善していることが感じられる」と指摘したことなどを伝えた。(翻訳・編集/野谷)

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