広東省深センは今、「硬科技(キー&コアテクノロジー)」の新興企業が集団で浮上し、企業の成長や収益、競争優位の形成を再定義しています。最近では、科創板に上場した影石創新をはじめ、3Dプリンターの拓竹科技、ポータブル蓄電の正浩創新、骨伝導イヤホンの韶音科技など、高い収益力を持つ企業が次々と登場しています。
これまで、深度求索(DeepSeek)など浙江省杭州の「六小龍」が世界的注目を集めた一方で、深センは一時期「大疆(DJI)以降、革新なし」と評されることもありました。しかし、人工知能(AI)やエンボディドインテリジェンス技術を活用した新興企業が理論を迅速に商品化し、グローバル市場で検証されつつあります。
特徴的なのは、創業当初から国際市場をターゲットにしている点です。拓竹科技は設立4年で売上高約50億元(約1070億円)、純利益約20億元(約430億円)を達成しました。技術革新と知的財産権戦略を武器に、消費者や産業需要を的確に取り込んでいます。
さらに、深センの硬科技企業の創業者は、華為(ファーウェイ)、騰訊(テンセント)、大疆出身者が中心です。彼らはシステム思考やグローバル視点を備え、早期から海外市場を視野に入れた事業運営が可能です。
深センを支えるもう一つの要素が、珠江デルタに広がる柔軟なサプライチェーンです。試作から量産までの時間が短く、海外の需要変動にも迅速に対応できます。創想三維の例では、華強北エリアの成熟したハードウエアエコシステムが製造コスト低減とスピード感を支えています。
深センの強みは、優秀な人材、柔軟なサプライチェーン、市場対応力にあります。AIとハードウエアの融合が進む中、同市の硬科技企業群はさらに進化し、世界市場での競争力を高め続けると期待されています。