2025年10月13日、香港メディア・香港01は「レアアースはなぜ軍需産業、電気自動車(EV)、電子製品の命脈となったのか」と題した文章を掲載した。

文章は、レアアースについて「ランタン元素にスカンジウムとイットリウムを加えた17種類の金属元素の総称であり、現代の科学技術と工業を根幹から支える核心的な戦略資源」と紹介。

「工業材料のビタミン」とも呼ばれ、蛍光、磁性、レーザー、光ファイバー通信、さらには多くのハイテク兵器において代替不可能な存在になっていると伝えた。

また、「レアアース(希土)」という名前についてはかつて分析技術が低かった時代に地殻中で希少だと誤認されたこと、および風化殻に凝集して土状で見つかったことから命名されたと指摘。実際に「希少」なのは埋蔵量ではなく、レアアース元素が普通の鉱石に微細に混ざり合い、採掘、分離、精製に複雑なプロセスと高額なコストがかかるという「獲得の難しさ」にあると説明した。

さらに、軽レアアース(ランタン、セリウムなど)と重レアアース(ジスプロシウム、テルビウムなど)に大別され、貯蔵量が比較的多い軽レアアースに対して、重レアアースはその稀少性と特殊性能から、永久磁石やレーザー材料といった先端技術の命脈となっていると解説。このため、レアアースの供給を巡る動向は往々にして国際的な緊張に直結し、今年4月、中国は米国の追加関税への対抗措置としてレアアースの輸出制限を厳格化したのに続き、今月9日に輸出管理をさらに強化したことで、米トランプ政権は中国政府に100%の関税を科す方針を示すに至ったと紹介している。

文章はその上で、レアアースの用途について解説。金属態では合金、磁石などとして、酸化物態ではセラミック、触媒、発光材料などとして利用されており、レアアースの永久磁石材料はEVのモーターや風力発電機の「心臓」となっていること、スマートフォンには15種類のレアアースが用いられていること、精密誘導兵器、レーダーシステム、夜間視覚装置などの軍備においても不可欠な材料であり、米軍のヴァージニア級原子力潜水艦を1隻建造するのに4トン以上のレアアースが必要であることを紹介した。

このほか、レアアース触媒は自動車の排ガスを浄化し、90%以上の汚染物質を削減すること、農作物の成長を促進し、収穫量の向上や病害虫への抵抗力強化にも貢献することに触れ、レアアースは環境保護や農業の分野でも大きな利用価値を持っていることを伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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