ドライバーがいなくても複雑な道路状況で正確に障害物を避け、休憩も不要で24時間体制の配送が可能――。小型で機動力の高い無人配送車が日常生活に溶け込み、宅配・物流サプライチェーンの新たな力となっている。

人民日報が伝えた。

2024年末までに6000台を超える無人配送車が本格運用に入り、100を超える細分化された利用シーンで累計1億件以上の注文を配達した。湖南省岳陽市の韻達雲渓営業所では6台の無人配送車が周辺50以上のコミュニティーをカバーし、1日当たり1万件以上を配送。江蘇省無錫市では陽山水蜜桃の収穫期に宅配大手の順豊の無人配送車20台余りが果樹園の中を走り回っている。さらに、北京市順義区ではECプラットフォームの美団が配達員と無人車を組み合わせた配送モデルを導入し、安徽省合肥市では物流会社の菜鳥の無人配送車が店舗への自動補充を実現した。

新たな応用シーンの拡大は、産業構造にも多方面の変化をもたらしている。韻達雲渓営業所の責任者・姚磊(ヤオ・レイ)氏は「人手による配送に比べ、無人車を使えば運営コストを半分近くに削減できる」と語る。美団無人車事業部の運営責任者・李達(リー・ダー)氏も「無人車と配達員の協働で配送速度と効率が高まり、今年は配達員1人当たりの月間平均配達件数が昨年より1割増え、収入も数百元増加した」と説明。順豊速運の陸運運力計画責任者・魏飛翔(ウェイ・フェイシアン)氏は「無人車の導入により配達員の負担が減り、従業員と企業の付加価値創出の余地が広がった」と述べた。国家郵政局の関係者によると、宅配・物流業は無人配送車が最も規模拡大の可能性を秘めた応用分野の一つだという。

無人配送車の大量導入の背景には供給と需要の協調がある。供給側では、新石器(Neolix)製の無人車が昨年初めて年間納車台数1000台を突破し、今年は単月で1000台超を出荷。

需要側では、中通(ZTO)の無人配送車2000台余りが全国200都市以上で毎日20万個以上の荷物を運んでいる。さらに、技術と運用現場のすり合わせが進み、コストも低下した。新石器の創業者・余恩源(ユー・エンユエン)氏は、「5年前は1台当たりのハードウェアコストが30万~50万元(約630万~1100万円)だったが、今では10万元(約210万円)以下まで下がり、海外製同等品の10分の1に過ぎない」と述べた。全国100都市以上で無人配送車の公道走行が認可されており、北京と深センではL4レベルの自動運転小型貨物車にテストナンバーが交付されている。

未来に目を向けると、無人配送車の利用シーンがさらに多様化し、形態が多彩になり、運用効率も一層高まる見通しだが、政策体系の整備や技術高度化といった課題にも直面している。国家郵政局政策法規司の元副司長・靳兵(ジン・ビン)氏は、「無人技術の普及は宅配・物流業のデジタル・スマート化を後押しすることが期待される」と話した。(提供/人民網日本語版・編集/ES)

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