世界初の吊り上げ能力が3000トン級を突破した全直流風力発電設置船「北欧の風」が10月15日に中国東部沿海の山東省煙台市で引き渡されました。同船は世界で超大型全直流風力発電設置船の関連技術の空白を埋めたとみられています。
「北欧の風」は、煙台中集来福士海洋工程有限公司で建造されたもので、全長146メートル、最大排水量は5万6000トンです。3200トンのメイン吊り上げ機と2級動力測位システムを装備しており、欧州の北海で8級の風浪や氷点下15度の低温などの悪海況でも安定して稼動することができます。また、現在主流となる15メガワットと20メガワットの風力発電ユニットの運輸と設置に対応できます。従来の風力発電設置船と比べ、全直流給電方式を採用しており、空船の重量を軽減し、船舶の積載能力を向上させるとともに、エネルギーの利用においても炭素削減につながるとみられています。
「北欧の風」プロジェクトの趙亮技術マネージャーの紹介によると、交流発電ユニットは燃料発電機からノンストップで電力を供給することが必要とされているのに対し、直流給電は燃料発電機による蓄電池への充電を通じて、蓄電池から関連設備への給電ができるとのことです。蓄電池の電力供給が不足した場合、断続的に燃料発電機から電力を供給してもらい、燃料消費を最小限に抑えることができます。
同船の風力発電設備の設置に必要な炭素排出量は従来の交流給電船の3割に過ぎず、1メガワット当たりの炭素排出量は7割以上も削減できると試算されています。(提供/CRI)