2025年10月16日、台湾メディア・自由時報は、中国によるレアアース輸出規制について、米国のシンクタンクが西側の連携を必要とする認識を示したことを報じた。

記事は、中国が先週レアアースの輸出規制を拡大すると発表したことを受け、米トランプ大統領が中国製品への関税を100%に引き上げる対抗措置を打ち出したと紹介した。

そして、米ウォール・ストリート・ジャーナルやワシントン・ポストなどが中国の動きについて、自国のサプライチェーン支配を維持・拡大しながら、米国の貿易・半導体規制を撤回させることを狙った交渉術だと分析していることを伝えた。

また、ワシントンのシンクタンク「ドイツ・マーシャル基金」のインド太平洋プログラムディレクターであるボニー・グレイザー氏と代理上級副代表ペニー・ナス氏が15日に基金公式サイトへの寄稿文でこの件に触れ、中国が輸出許可の対象となる希土類元素のリストを拡大し、地政学的影響力を誇示したと評したことを紹介している。

記事によると両氏は、現在世界のレアアース生産量の約9割、精製・加工能力の約85%を掌握する中国政府が輸出規制をさらに強化し、「中国企業は今後、希土類の採掘・分離装置を輸出する際に当局の許可を得る必要がある。さらに、12月1日以降は海外企業が輸出する磁石や半導体材料にごく微量でも中国産希土類が含まれている場合も中国政府の許可を得なければならない」との内容を盛り込んだと説明した。

その上で、レアアースがすでに中国の経済外交を支える地政学的な「武器」と化しており、西側諸国にとって重大な警鐘であると指摘。西側諸国はレアアースの採掘・加工・精製能力を拡充するとともに、関税政策の調整、投資審査の共通基準づくり、共同調達などを含む協力体制を構築しなければ、中国による経済的圧力に対抗できないとの見方を示している。(編集・翻訳/川尻)

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