香港メディアの香港01の16日付記事によると、中国の専門家が「今後10年で台湾を回収できなければ、おそらく永遠に取り戻せない」と発言し、注目を集めた。
発言の主は厦門(アモイ)大学法学院教授で、かつて台湾政治大学法学院の客員研究員を務めた魏磊杰(ウェイ・レイジエ)氏。
また、「今後10年は中国にとって台湾を必ず回収しなければならない戦略的期間」と明言。「軍事的、非軍事的を問わず行動を起こす必要がある。これ以上先延ばしすれば、台湾は永遠に取り戻せなくなるかもしれない」と警告し、その理由について、蒋介石と共に台湾へ渡った外省人は70年以上を経てすでにほとんど亡くなり、新世代の人々は「中華」へのアイデンティティーが希薄化しているため、時間の経過と共に双方の分裂状態が固定化するためと説明した。
同氏は「非軍事的手段による攻勢を第一選択肢とし、名目上の主権を実質的な管轄権へと転化させるべき」と述べ、軍事演習や軍事力を後ろ盾としつつ、海警の活動範囲を拡大し、台湾周辺の海空域を段階的に中国本土の実効支配下に組み込んでいくべきと主張。昨年5月の台湾周辺での軍事演習を例に挙げ、「戦争によらない形で主権主張を強化する」ものだと説明した。
一方で、武力統一に踏み切る場合の手法については「離島の先行占領」「戦闘機による包囲」「特殊部隊による急襲」「要所への的確な攻撃」などを挙げつつも、これには米国や西側諸国からの制裁など極めて大きな代償が伴うとも言及。想定される影響として「西側市場の喪失による年間10兆元規模の輸出損失」「2000万人超の失業者の発生」などを挙げ、さらにコロナ後の経済低迷、不動産不振、地方財政の悪化などが重なれば、「国家の安定を揺るがしかねない」と指摘した。
同氏は最後に、「中国は戦略的なタイミングを慎重に見極め、外部勢力の介入による台湾海峡現状の固定化を防ぐ必要がある」と強調した。(翻訳・編集/北田)