2025年10月17日、財聯社は、台湾の半導体受託製造大手TSMCが最先端半導体の価格引き上げを計画する中で、クアルコムなどの大手企業が調達先をサムスンなどに変更することを検討していると報じた。
記事は、業界関係者が16日に明かした話として、TSMCがすでに3ナノメートルプロセスで値上げを実施しており、クアルコムのモバイル用アプリケーションプロセッサは約16%、台湾メディアテックの半導体は約24%の製造コスト上昇につながる見通しだと紹介。
そして、クアルコムのクリスティアーノ・アモン最高経営責任者が9月に半導体の外部製造委託先について「多様な選択肢を検討している」と述べる一方、米インテルの18A世代プロセスについては「まだ信頼できる段階にない」と発言しており、3ナノメートル以下の先端製造技術を持つのはTSMC、サムスン電子、インテルの3社のみである現状を考えれば、アモン氏の発言はサムスンとの提携を示唆するものだとしている。
また、クアルコムはすでにサムスン電子と共同チームを立ち上げ、次世代フラッグシップ製品向けに「Snapdragon 8 Elite Gen 5」の2ナノGAA(Gate-All-Around)版を評価しているという関係筋の情報も併せて紹介した。
記事は、サムスンがすでに2ナノGAAプロセスによるExynos 2600の量産を開始しており、自社製スマートフォンGalaxy S26シリーズの複数モデルに搭載される見込みであると紹介する一方、同社は歩留まりの低さで長年評価が安定しなかったため、TSMCが値上げしたとはいえ、主要顧客の完全な信頼を得るにはまだ時間を要する可能性があると伝えた。
さらに、TSMCが価格を引き上げる背景について、米アリゾナ州工場の高コスト構造があると指摘。同工場での4ナノ製造コストは台湾の工場に比べて約3割高く、極端紫外線(EUV)露光装置を利用する2ナノ世代では、その差が5割程度に拡大する見込みがあるものの、トランプ米大統領による「米国製造」推進の圧力の中でコスト上昇を受け入れざるを得ない状況にあると解説した。
記事によると、サムスンも米テキサス州に工場を持っており、コスト面で同様の課題を抱えるものの、すでに20年近い実績を持ち、米半導体メーカー・グローバルファウンドリーズのなどとの連携体制も確立していることから、業界ではTSMCほどのリスクはないと認識されているという。(編集・翻訳/川尻)











