2025年10月23日、韓国・毎日経済は、韓国政府が22年10月に発生した「梨泰院(イテウォン)雑踏事故」に関する合同監査の結果を発表し、事故当日、警察の配置がなかった理由として、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権が行った大統領室移転に伴う警備配置が影響していたと報じた。

記事によると、国務調整室は同日午前、政府ソウル庁舎で「梨泰院雑踏事故合同監査チーム」の調査結果を発表。

警察庁、ソウル市庁、龍山(ヨンサン)区庁などに対する監査を実施した結果、「大統領室の龍山への移転により、当日は大統領室周辺の集会警備に人員が集中、梨泰院には警備要員が全く配置されていなかった」と明らかにした。

梨泰院があるソウル・龍山区の龍山警察署は、20年と21年には策定していた「ハロウィーン群衆管理計画」を事故があった22年には策定していなかった。さらに、梨泰院派出所は事故前に圧死の危険の通報を11件受けたにもかかわらず、出動は1回のみであった上、出動後の対応について虚偽の内容を入力していたことも確認されたという。

記事は「龍山警察署長は、交通渋滞により事故発生から1時間30分後に梨泰院派出所に到着し、現場の確認を行わず、派出所に留まった。また、警察庁への報告も翌日未明まで行われなかった」とし、「龍山警察署長やソウル警察庁長ら主要責任者による、状況の把握が遅れたことにより、現場の指揮に失敗した」と指摘した。

龍山区庁についても「区の職員はソウル総合防災センターからの『圧死事故が発生した』との通報を受けても放置し、のちに行政安全部からのメッセージを受けてようやく上司に報告したが、区長には伝わっていなかった」とした上で、合同監査チームが「災害発生初動報告体制が機能していなかった」と批判したことを伝えた。

合同監査チームは今回の監査で事故対応やその後の処理に問題が確認された警察所属の51人、ソウル市および龍山区関係者の11人など、関係者62人に対し、責任に応じた懲戒を求めたという。

これについて韓国のネットユーザーからは「結局、予想していた通りだった」「大統領室の移転がどれほど無理な計画だったかが分かる」「人命よりも警備を優先した結果」「当時の警察は何をしていたのか」「責任者全員を処罰すべき」などの声が上がった。

一方で、「自分たちで遊びに行ったのに警察のせい?」「原因は、ハロウィーンだからといって、無理に酒を飲みに集まった人間たちだろう」「警察もあんな事故が起きるとは予想できなかっただろう」「そもそもデモでもないイベントに警察が配置される必要がない」といった声も見られた。(翻訳・編集/樋口)

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