2025年10月29日、香港メディア・香港01は、日本で行われた高市早苗首相とトランプ米大統領との会談について「日米同盟の主従関係がより鮮明になった」とする、胡錫進(フー・シージン)環球時報元編集長の評論を報じた。

胡氏はまず、トランプ大統領の訪日中に高市首相が極めて露骨な迎合姿勢を見せたと主張。

日米首脳会談では安倍晋三元首相の名を出して賞賛するトランプ氏に対して安倍氏への「崇拝」を示したほか、昼食にはトランプ氏が長年要求してきたアメリカ産米と牛肉を使用した料理を提供したと紹介し、これらはトランプ氏の歓心を買うための対米迎合術の徹底的な磨き上げの成果であり、日本が外交上の主導権を放棄し、アメリカの戦略上の「道具」となる姿勢の現れだと評した。

また、在日米軍基地の費用分担に絡んだ国防費の増額や、日米同盟を「最も偉大な同盟」と形容したことにも言及し「第2次世界大戦に敗れて署名させられた従属的な同盟関係の歴史を踏まえると、冷たいユーモアのように映る」とした。

一方、トランプ大統領は歓迎儀式の際に予定の進行を無視し、高市首相を置き去りにして一人で前を歩き進む、米空母ジョージ・ワシントン号では高市首相を抱き寄せ、腕を回して日米同盟について盛んに語るなど勝手気ままな行動が目立ったことを指摘し、高市首相の言動とのコントラストを示した。

さらに、日米首脳会談で署名された「日米同盟が新黄金時代に入る」とする宣言と、レアアース金属のサプライチェーン拡大協力に関する合意文書について、その実効性に対する疑問を提起。米国メディアからも「あいまいな内容で突破口を開いた兆候はほぼない」との評価が出ており、合意は地政学的戦略をアピールすることが主目的になっているとの見方を示している。

胡氏は、日本が最も重要な対外関係を「対米迎合の極致」に変貌させており、その戦略的視野が著しく狭まっていると主張。関税交渉では国益を守るの姿勢を示しながらも最終的にEUを上回る5500億ドル(約80兆円)もの巨額対米投資を約束するなど、対米追従に歯止めがかからないとした。

また、高市首相が国内であおられた対中対立の政治的ムードによって最大の貿易相手国の中国と敵対すると同時に、米国の意向に全面的に縛られるという非合理な外交路線を選択していると述べた上で、与党が少数派の「弱い首相」という立場の中で決断力を誇示しようとするあまりに、日本社会はこじれた状態が続くことが避けられなくなっていると結んだ。(編集・翻訳/川尻)

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