中国メディアの環球時報は15日、中国はいかにして世界の電気自動車(EV)バッテリー競争で勝てたかとする英BBCの記事を紹介した。
記事はまず、中国について「2008年の北京五輪では世界中から集まったアスリートやジャーナリスト、関係者がスタイリッシュなバスに乗って中国の首都にあるさまざまな会場間を移動したが、今や2050年までの世界のネットゼロ目標達成に不可欠な産業の王者となり、世界のリチウムイオン電池の4分の3以上を生産し、世界の電池メーカートップ10のうち6社が中国に拠点を置いている」と伝えた。
そして、中国のEVバッテリー産業が急成長したのはいくつかの要因の組み合わせにあるとし、国の政策支援だけでなく、中国企業はEVバッテリー製造の鍵となる大規模生産とコスト管理にも長けていると伝えた。
また、中国のバッテリー産業を際立たせている重要な要素は他にもあるとし、寧徳時代(CATL)や比亜迪(BYD)など中国の大手バッテリーメーカーが「垂直統合型」ビジネスモデルを採用し、サプライヤーの全部または一部を所有していることを挙げ、業界関係者によると、これはコストを抑制しつつサプライチェーンの安全性と信頼性を確保するのに役立つと伝えた。
さらに、絶え間ないイノベーションも中国のバッテリーメーカーが常に優位に立つための要因の一つだとし、急速な技術革命の背後には、大学やバッテリー企業が提供する的を絞った教育・職業訓練制度を経て輩出された大勢の中国人バッテリーエンジニアがいることを挙げ、コンサルティング会社トリビアム・チャイナのコリー・コームズ氏の話として「中国企業には驚くほど優秀な技術研究者の世代がいる。彼らは研究室で上流工程を担当する博士号取得者だけでも工場の現場作業員だけでもなく、生産プロセスを熟知し、市場のニーズを理解し、その知識を活用して既存技術を迅速に改良し、消費者を獲得できる実践的なエンジニアで、バッテリーの生産コストを効率化するにはまさにそうした人々が必要なのだ」と伝えた。
記事は「研究者の間では、現世代のバッテリー技術における中国の優位性に他国が挑戦するのは極めて難しいだろうという点で一致している」と指摘。「産業クラスターの存在やサプライチェーンの垂直統合など、中国のリーダーシップにつながったいくつかの側面を再現するのは難しいだろう」という中国の気候政策とクリーンエネルギー政策に注力するアジア協会政策研究所のケイト・ローガン所長の見方や、「中国の生産規模は、他国が追いつくのを非常に困難にしている。技術面で追いつくのではなく、その技術の商業的成功で追いつくことだ」とする非営利研究機関ランド研究所ヨーロッパで中国と経済安全保障を研究するフランチェスカ・ギレッティ氏の見方、「バッテリー製造エコシステムの構築において中国が20年もリードしてきたことを考えると、他の国が中国に追いつくことは想像できない。中国ははるかに先を進んでいる」とする深センに拠点を置き中国のクリーンテクノロジー分野に投資するスノー・ブル・キャピタルの最高経営責任者(CEO)テイラー・オーガン氏の見方を紹介した。(翻訳・編集/柳川)











