仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は19日、香港メディアの報道を引用し、「中国当局が国有企業の従業員らに日本旅行をキャンセルするよう要求しているものの、一部は『こっそり』行こうと考えている」と報じた。

記事は、香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道を引用。

「高市早苗首相の台湾有事に関する発言に端を発して日中関係が緊張する中、複数の中国国有企業の社員が明かしたところでは、事前にすでに許可されていたにもかかわらず、最近になって会社から日本旅行の計画を取り消すよう求められるケースが相次いでいる」と伝えた。

サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、湖北省武漢市のある国有企業のエンジニアの男性は18日、勤務先の行政部門の職員から突然電話を受け、近く予定していた日本への旅行をキャンセルするよう促されたという。中国の国有企業の多くでは、海外旅行に行く際に会社の許可が必要だというが、男性は10月の時点ですでに許可を取得していた。男性はキャンセルせざるを得なくなり、旅行代理店に連絡。航空券代とホテル代は返金されたが、ビザ申請費用は返金されなかったという。

また、北京の公立病院で看護師をしている男性は、11月初めに病院に日本旅行の申請を出していたが、中国当局が日本への渡航自粛を呼び掛けると、上司から日本旅行をキャンセルするよう求められた。男性の旅行の予定は今週末で、海外の旅行サイトを通じて航空券とホテルを予約しているため、キャンセルした場合、すでに支払った6000元(約12万円)のほとんどについて返金は受けられない(中国国内の航空会社、旅行会社は多くが返金に応じている)。男性は許可を得ずにこっそり日本に行くことも考えているというが、「上司に知られた場合は非常に危険」と吐露した。

北京のある国営研究機関の男性職員も同様に、12月の日本行きの旅行をキャンセルせざるを得なくなった。男性は1カ月ほど前に年次休暇を取得して日本行きの計画を立てていた。上司は「日本行きを禁止する」とは言っていないものの、男性の申請は「保留」扱いにされ、実質的には日本行きを認めていない状況だという。男性は中国の航空会社の便を予約していたため、返金を受けることができた。

また、日本のホテルと交渉した結果、前払いした宿泊費も返金された。空いた休暇の予定はまだ決まっていないという。

報道によると、ここ2日間、中国のSNSでは、自分たちが所属する政府機関などから日本旅行をキャンセルするよう求められたとの投稿が数十件あったという。(翻訳・編集/北田)

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