台湾有事を「存立危機事態」との見解を示した高市早苗首相の国会答弁に対し、中国側が反発の度合いを強めている。国営新華社通信は中国側の申し入れにもかかわらず、発言を撤回しないのは「高市氏の立脚する土壌に起因」として、「毒のある土壌からは有毒な苗が」と酷評した。

新華社通信は「高市氏は首相就任から1カ月足らずで、歴史認識や台湾問題、軍事・安全保障、対外関係などの分野で波風を立てているが、これは決して偶然ではない」と前置き。「高市氏の立脚する土壌に起因している。毒のある土壌からは、必然的に有毒な苗が生じる」とした。

第一に取り上げたのは「歴史修正主義という毒の土壌」。「高市氏は政界入り以来、歴史修正主義の『旗手』として名をはせてきた。『村山談話』への疑問視や南京大虐殺の否定、靖国神社参拝といったゆがんだ歴史認識の延長線上で、台湾問題の背後にある重く痛ましい中日両国の近代史や日本が台湾の植民地統治期に犯した数々の罪、外部勢力による台湾問題への介入を許さない14億中国人民の決意には関心を持たない」と批判した。

第二は「台湾への植民地支配意識という毒の土壌」。「高市氏は台湾を何度も訪問し、島内の『台湾独立』勢力と結託し、同勢力が『日本カード』を切るための橋渡し役を務めてきた。首相就任後には超党派議員連盟『日華議員懇談会』の中心メンバーから選んだ『親台派』の側近を自民党の要職や内閣に数多く配置した」と続けた。

第三は「軍国主義の亡霊という毒の土壌」。高市氏は首相就任前、『大日本帝国の栄光』の回復を叫ぶ極右勢力と密接な関係にあり、帝国時代という過去の夢に浸る歴史復古主義者らに『最も理想的な首相候補』とみなされていた。高市氏はこの点を十分に心得ており、就任後すぐに『軍事・安全保障カード』を大々的に切り、異例の軍事費増額、武器輸出制限の全面解除、先制攻撃能力の大幅な強化など、一連の急進的な軍拡政策構想を打ち出した」と糾弾した。

四番目は「誤った対中認識という毒の土壌」。「一部の政治家は最も基本的な対中認識さえ欠き、日本の中国侵略の歴史がもたらした痛ましい教訓を忘れ、事あるごとに『中国脅威論』を唱え、対中『強硬』姿勢を安易な票集めの手段や支持基盤を固めるための政治的日和見の道具にしている。いち早く『台湾有事は日本有事』を声高に主張した安倍晋三氏と麻生太郎氏、そして安倍氏の後継者を自認する高市氏が好例である」と断罪した。

その上で新華社通信は「日本の為政者は状況を完全に見誤り、自らの能力を過大評価している」と指摘。「過ちをかたくなに認めず、威嚇を続けるなら、中国からの痛撃に直面することになる」と警告した。(編集/日向)

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