中国メディアの環球時報は2日、電気自動車(EV)の並外れた能力が中国の空飛ぶクルマ産業の飛躍を後押ししているとする仏AFP通信の記事を紹介した。

記事はまず、「空飛ぶクルマの量産に向けた試作を行う中国南部の広州の工場では、白い手袋をはめた作業員が、組み立てラインからオフされたばかりの箱型の2人乗り航空機のプロペラを点検している」とし、「世界的に大いに期待されていた空飛ぶクルマ産業が技術面と規制面の課題により飛躍できない中、中国企業はドローン(無人機)とEVの急速な発展を基盤に、未来的な発明に対する政府の支援も活用しながら事業を進めている」と伝えた。

そして、この工場で建造中の軽量6プロペラ機は垂直離着陸が可能で、「陸上走行ユニット」と呼ばれる大型の車と一体化して、中国のEVメーカー、小鵬(XPeng)傘下で、分離式電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を手掛ける小鵬匯天の空飛ぶクルマ「陸地航母」になると紹介した。

記事によると、この工場はフル稼働時で30分ごとに1台を生産できる。11月初旬に試作を開始し、来年には納入が始まる予定で、すでに7000台余りの予約注文を受けている。

EVの並外れた能力が中国の空飛ぶクルマ産業の飛躍を後押し―仏メディア

記事は「しかし、空飛ぶクルマが毎日空を飛ぶようになるまでには、まだ長い道のりがある」とし、小鵬匯天の経営幹部の話として「規制、消費者の製品に対する安心感、そして空域やサプライチェーンの管理方法などのすべてが徐々に追いつく必要がある」と伝えた。

記事によると、世界のテクノロジー大手の間では、航空モビリティの未来をめぐる競争が過熱している。中国のドローンメーカー、億航智能(EHang)は今年、中国当局からeVTOLの営業許可を取得した世界初の企業となった。

記事は、中国政府が、ドローンによる配送や空飛ぶクルマの量産化など、主に高度1000メートルまでの低空域で展開される経済活動を今後の戦略分野と位置付け、開発の加速を目指しているとし、「ボストンコンサルティンググループによると、中国の空飛ぶクルマ市場は「重大な転換点」に近づいており、2040年までに410億ドル(約6兆3550億円)規模に成長すると予測されている」と伝えた。

また、清華大学車両・モビリティ学院の張揚軍(ジャン・ヤンジュン)教授の話として「今後の競争は、コスト管理とサプライチェーンの効率性にますます左右されるだろう。そして、これらの分野では中国が明確な優位性を持っている」と伝えた。(翻訳・編集/柳川)

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