高市早苗首相の「台湾有事」発言を受け、中国が日本文化を締め出す「限日令」を本格化させた、と韓国紙が報じた。この中では「2016年の高高度防衛ミサイル(THAAD)韓国国内配備後、限韓令(韓流禁止令)で韓国に圧力を加えたのとほぼ同じ流れだ」とも伝えた。
朝鮮日報が「限日令」発動の具体例として挙げたのは、11月28日に中国上海市で開催中の「バンダイナムコフェスティバル2025」のステージで歌っていた歌手の大槻マキさんが「強制退場」させられた出来事など。日本を代表する女性歌手の浜崎あゆみさんも28日、中国・上海での公演が突然中止されたと発表した。
浜崎さんのケースで中国の主催会社は前日に中国の交流サイト(SNS)「微博(ウェイボー)」に「不可抗力の原因」で中止すると明らかにした。SNSには「日本と中国のクルー総勢200名で協力し合い、5日間かけて上海のステージを本日組み終えたが、午前に急きょ公演中止の要請を受けた」と書いた。
朝鮮日報は「『不可抗力』は事実上、中国当局の介入があったことを示唆しているものと解釈されている」と報道。杭州と北京で行われる予定だった『美少女戦士セーラームーン』を原作とするミュージカルも突然中止になり、日本人歌手グループのゆず、ピアニストの上原ひろみさんの中国公演も取り消された。日本の劇場用アニメ映画「はたらく細胞」と「クレヨンしんちゃん」シリーズ最新作も公開が無期限延期された。
背景としては「共産党機関紙の人民日報や国営新華社通信、中国中央テレビ(CCTV)などの国営・官営メディアは軍事専門家・学者を動員して日本に対する非難の度合いを高めている」と論評。「中国当局や官営メディアが表面上は『禁止』などの表現を使っていないのも限韓令の時と同じだ」と続けた。
さらに「中国政府の告知やメディア報道のどこにも、日本に対する措置に関して『禁止』や『全面暫停(一時中止)』という表現は出てこない。『避免(自粛)』『慎重に計画』『危険評価せよ』といった文言ばかりが繰り返される」と言及。「まるで中国国民が自発的に賛同しているかのように覆い隠しているのだ」と皮肉った。
今後の見通しに関しては「THAADの時、中国は韓国だけではなく米国もターゲットにしたが、今回は日本を直接ターゲットにしているため、限日令の方が限韓令より強硬になる可能性があるとの見方もある」と指摘した。
その上で「日中対立は1年以上と長期化する可能性が高い。『抗日戦争勝利80年』を大々的に宣伝している中国は内政や宣伝の面から簡単に退くことが難しい」として、米外交専門メディア「ディプロマット」の記事を引用。「高市政権が1、2年の短命で終わるとみて、その期間の関係悪化はやむを得ないとの計算があるのでは」との見方を示した。(編集/日向)











