台湾政府内政部は4日、中国版インスタグラムなどと評されることもある、SNSの小紅書が詐欺事件の発生に関連しており、小紅書側に送った照会文書が既読であるにもかかわらず返答がないとして、1年間にわたり台湾からの接続を不能にする暫定措置を行うと発表した。この措置は台湾最大野党の国民党から批判された。

中国大陸側のネットユーザーは台湾が自称する民主と自由はどこへ行ったのかと皮肉った。フランスメディアのRFIが伝えた。

台湾内政部は4日、中国企業が運営するSNSの小紅書絡みで、過去2年間で詐欺事件1706件が発生しており、小紅書への照会文書が無視されたとして、台湾内では、小紅書のドメインを含むURLを打ち込んでも接続できなくする技術的措置を講じ、併せて接続停止の命令を出した。これらの措置の暫定執行期間は1年間とした。

内政部警政署刑事局は同件について記者会見を開き、小紅書に関連して台湾で2024年に発生した詐欺事件は950件で、被害総額は1億3290万新台湾ドル(約6億6000万円)以上に達したと説明した。今年は年初から11月末までに756件が発生して被害総額は1億1477万新台湾ドルに達し、増加傾向が続いているという。

台湾での小紅書のユーザーは現在までに300万人を超えたが、国家安全局の小紅書に対する情報セキュリティー検査では、15項目すべてが不合格だった。また、小紅書は過去1年間でユーザーが100万人増えるなど利用が急拡大しているが、台湾の司法当局による資料調査に全く協力せず、捜査が困難になり、被害者も賠償を得られない状況だ。

台湾の劉世芳内政部長は5日、「小紅書は詐欺防止の法律を無視し、台湾に法定代理人もおらず、連絡して既読になっても無視している。これでは政府が支持するはずがない」と述べた。ただし劉部長は、「政府が小紅書に党派的な疑念を持っているのではない。台湾でビジネスをする以上は関連法規を守るべきだ」と強調した。

台湾の最大野党である国民党の鄭麗文主席(党首)は5日、中国のSNSである小紅書へのアクセスを1年間停止する政府の措置を検閲だと非難した。

一方で、民進党政策会執行長である呉思瑶立法委員(議員)は5日に取材を受けた際に、「グーグルやライン、メタは台湾の法規を守って合法的に進出し、詐欺事件の対応窓口も設けている」と指摘。「他のすべてのプラットフォームが詐欺防止に参加している中で、なぜ中国の小紅書だけが例外であり特権を持つのか」と述べた。

台湾ではすでに、小紅書が利用できない状態だ。台湾人ユーザーは悲鳴を上げている。中国大陸部では関連キーワードがSNSの微博(ウェイボー)の検索ランキングで1位に躍り出た。中国大陸側では多くのネットユーザーは皮肉を込めて、「台湾が自称する民主と自由はどこへ行ったのか」「今や『翻牆(ファンチアン)』せねばならない日が来た」などと書き込んだ。

「翻牆」の原義は「壁越え」だが、ネットスラングでは中国大陸部のユーザーが、大陸外に置いたVPNサーバーなどのサービスを使って、通常ならば大陸部でアクセスが遮断されているサイトに越境到達することを意味する。

ただし一部の中国ネットユーザーは、小紅書には確かに問題があると考え、「封鎖してよかった」「中国大陸部でも封鎖すべきだ」と論評した。中国大陸部でも小紅書を利用した詐欺の報道が繰り返されており、「小紅書は詐欺師の集合場所になっている」との批判が出ている。

台湾政府は、中国大陸側への交渉窓口機関である海峡交流基金会を通じて小紅書の運営会社に改善策を提出するように求めたが、現在も返答は得られていないという。(翻訳・編集/如月隼人)

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