2025年12月8日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、欧州が中国への依存によって高い代償を払っているとするドイツメディアの評論を紹介した。
記事が紹介したのは、ドイツ紙ハンデルスブラットに掲載された評論。
まず、欧州委員会のフォンデアライエン委員長が23年初めに一致団結を呼び掛けて提唱したデリスキングに対し、EU各国は同意こそしているものの、そのルールづくりや実施に必要な政治的措置を講じていないと紹介。その一方で、中国政府によるレアアースや半導体の輸出制限が、EUによる輸出依存がいかに深刻であるかを改めて浮き彫りにしたと伝えた。
そして、EUが実際の行動に出ていない背景には、ウクライナ戦争やトランプ関税などのより喫緊の課題への対応に追われていること、27カ国が加盟するEUの政治決定の難しさ、本来リーダーシップを取るべき「ドイツのような一部主要国」が逆にデリスキングに向けた努力を妨害したと指摘している。
その上で、中国が対EU貿易黒字を前年比で毎月70億ユーロ(約1兆2700億円)も増やしている一方、欧州では安価で手厚い補助金を受けた中国製品の流入から自国労働者を保護する措置を1日遅らせるごとに、約500人分の雇用が失われるとの予測を紹介。中国政府が「世界に対する中国の依存度を減らし、同時に世界各国の中国への依存度を高める」という政策を公然と進める中、デリスキング戦略策定が遅れるほど、代償は高く、結果は深刻になると専門家が警告していることを伝えた。
同紙は、デリスキング戦略を断固として進めるためにはドイツやフランス、オランダ、ポーランド、イタリアといった主要国が政治的なリーダーシップをしなければならないと結んでいる。(編集・翻訳/川尻)











