2025年12月8日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、高市早苗首相による「台湾有事」発言に端を発する日中関係の冷え込みが「持久戦」になる可能性について論じる記事を掲載した。
記事は、11月7日の衆議院予算委員会における高市早苗首相の「台湾有事」に関する答弁により中国政府が激怒し、官製メディアが高市首相を激しく非難したほか、中国人訪日・留学の阻止、日本への航空便の大幅削減、輸入再開したばかりの日本水産物の停止、政府・民間交流の停止などの報復措置を発動したと紹介。
その上で、両国の対立が持久戦となる可能性について分析。まず、激しい対立の背景として日中双方に「譲れない一線」があることに触れ、日本については15年9月に成立した安保法制の存在を指摘した。「存立危機事態」に自衛隊による集団的自衛権を行使可能とする安保法制は台湾有事が「言外の想定」になっているため、高市首相の発言自体を撤回すれば「中国が台湾に武力攻撃を行い、米軍が介入して中国軍から攻撃を受けた場合、日本は集団的自衛権を行使して米軍を支援しない」ことになり、日米同盟の根幹が大きく揺らぐ可能性があるとした。
このため、中国側からの再三の撤回要求に応じず、「過去の政権の立場に変わりはない、存立危機事態かどうかはその時の状況に基づき判断する」という曖昧な表現により「事実上引っ込めた形」で収束を図ろうとしているのだと記事は論じている。
一方、中国側が譲れない根本的な理由として、1970年代の日中国交正常化に際して、日本が台湾との間で防衛協力に関する協定を結んでいなかったことに言及。高市首相の発言を少しでも容認する姿勢を見せれば、日中外交において「日本が台湾を防衛する」という見通しを事実上認めることになると指摘した。また、中国側としては高市首相を批判するために高く振り上げた拳を容易に収めるわけにはいかないという思惑があるとした。
記事はさらに、過去に日中関係が冷え込んだ際には日本の首相交代を景気に関係改善が図られてきたと紹介。今回は高市首相が就任したばかりである上、世論調査では75%という非常に高い支持率を維持するなど政権基盤が強固であり、短期間で政権交代が発生する見込みがないことから、日中間の対立は年単位で続く可能性が高いと結論づけている。(編集・翻訳/川尻)











