中国共産党は8日、習近平総書記(国家主席)が主宰する最高意思決定機関の中央政治局会議を開き、2026年の最優先経済課題として「内需拡大」の強化を打ち出した。ロイター通信などが国営新華社通信の報道を引用して伝えた。

内需拡大を通じてより積極的な政策で経済全体を下支えする見通しだ。

新華社通信は「次期5カ年計画(26~30年)の好スタートに向け、中国当局が「雇用、企業、市場、期待の安定」に努める」と報じた。また、来年は国内の経済活動と国際的な貿易問題への対応をより適切に調整していく方針だ。

「個人消費」には直接言及していないが、「内需主導の原則を堅持し、強固な国内市場を構築」すべきだとした。 さらに「われわれは国民の生活を第一に考え、国民のためにもっと実際的なことをするよう努めるべきだ」と指摘した。

公式発表では「新質生産力(新たな質の生産力)」の育成にも取り組むとし、少なくとも一部の主要産業で製造業抑制の強化には踏み切らない可能性を示唆した。政治局は「適度に緩和的な金融政策」を維持し、より積極的な財政政策を続ける方針も示した。

政治局会議では経済成長の変動にとらわれず長期的視点を重視する「クロスシクリカル(跨周期)」的な政策調整を採用する方針も掲げた。この表現が政治局会議の声明に登場するのは23年12月以来となる。

米ブルームバーグ通信によると、フランス・パリに本社を置くBNPパリバの栄静チーフエコノミスト(中国担当)は「需要を刺激しつつ、供給を安定させることが全体的なトーンだ」と言及。中国政府は緩和的な財政・金融政策のバランスを取る一方で、債務の持続可能性などのリスクを抑えようとしていることを示唆しているとし、「そのため、来年の政策見通しはごく緩やかな緩和に傾く可能性が高い」との見方を示した。

オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の邢兆鵬シニアストラテジスト(中国担当)は、「26年に段階的で緩やかな刺激策を実施し、消費をより重視する方針を声明は示している」と述べた上で、中国が来年1~3月(第1四半期)に市中銀行の預金準備率を引き下げ、4~6月(第2四半期)に利下げするとの予測を据え置いた。

ブルームバーグ通信は「中国経済はここ数カ月、投資の急減速を背景に勢いを失っている。25年に予想外の強さを示した輸出だが、来年は減速リスクに直面する。消費の持ち直しが進まないと見込まれ、政府は公共支出を拡大して下支えを強めざるを得なくなりそうだ」とした。

政治局が12月に開く会議は一般的に翌年の政策優先事項を定める「中央経済工作会議」の方向性を定める役割を果たす。

経済成長率目標や財政赤字の規模といったより具体的な措置や数値目標は、26年3月上旬に開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で発表される。(編集/日向)

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