2025年12月15日、シンガポールメディア・聯合早報は米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が中国市場に戻る上で鍵となる要因について分析した。
記事は、米トランプ大統領が8日にNVIDIA H200チップの対中輸出規制の緩和を発表したものの、中国政府の反応は決して「熱烈」ではなかったと紹介。
一方で、中国の国産チップの技術は向上しているものの、NVIDIAで2番目に速いAIチップであるH200の性能に比べると国産品にはまだ明らかな差があると指摘。アリババやバイトダンスなどの中国大手企業がすでにNVIDIAにH200の購入について接触していると報じられるなど、大規模モデルの訓練や推論に適したH200は中国のAI企業にとってなおも大きな価値があると論じた。
そして、中国国内では、国産チップが進展する中でNVIDIAのハイエンドチップが突然開放されることは、同社の中国チップ市場での主導的地位を回復させ、国産チップの成長を阻害するための「糖衣をまとった大砲」であるとの懸念も出ていると紹介。中国政府はハイテク市場を開放する姿勢を示しているものの、米国製チップについては「安全基準に適合し、かつ中国のチップ国産化プロセスを妨げないこと」という条件をつけており、H200の開放は国産チップが再びNVIDIAとの激しい競争、さらには生存の危機に晒されるリスクを伴うことから、中国政府にとっては「悩ましい存在」であることを説明した。
記事は、NVIDIAが再び中国市場に戻れるかどうかは、中国政府が先進的なチップの導入と、重要システムにおける国産チップの利用確保との間で、どうバランスを取るかにかかっていると結論付けた。また、そのかじ取りは中国がチップ分野で米国に「首根っこを押さえられない」ようにするための重要な課題でもあるとも論じた。(編集・翻訳/川尻)











