2025年12月17日、香港メディアの香港01は、中国で交通事故に遭った際に中国人の支援を受けたことを紹介する日本人女性のツイートが、多くの日本人を感動させたと報じた。

記事は、14日、X(旧ツイッター)上に投稿されたある体験談が、わずか数日で166万回を超える閲覧数を記録し、日中両国のネットユーザーに深い感動を広げていると紹介。投稿主は大阪から中国・北京へ旅行に出掛けた日本人女性で、異国の地で交通事故に遭って心身ともに窮地に立たされたが、そこで目にしたのはメディアを通じて抱いていた印象とは全く異なる、中国人の善意と献身的な姿だったと伝えた。

記事によると、病院の診療代がクレジットカードの限度額不足で支払えないために女性が困惑する中、現場で事故対応に当たっていた中国人男性が翻訳アプリを介して「金銭的に困っているなら自分が立て替える」と申し出てくれた。男性は「中国に来た以上、私たちはみな友達だ。災難だったがこれも一つの縁。気をつけて帰ってほしい」と告げ、面識のない外国人のために自ら費用を支払い、別れ際には無事に帰国した際には連絡するよう彼女に伝えたという。

また、医療現場でもスタッフの誠実な対応に接したとのことで、医師たちは翻訳機を駆使して一言ずつ症状を確認しながら真剣に診察に当たっていたほか、偶然翻訳機で拾った医師同士の会話には「国際病院としてより高いレベルで外国人に寄り添うべきだ」という反省の言葉も含まれていたという。

さらに、現地で知り合った友人たちが大使館に連絡したり適切にアドバイスしたりしてくれたこと、帰国時には空港職員が車椅子で搭乗口まで付き添ってくれ、機内でも客室乗務員が頻繁に体調を確認してくれるなど、職務の枠を超えた細やかな配慮がなされたとのことだ。

知人から医療スタッフ、そして見知らぬ人までさまざまな人から支援を受けた女性は、その感動ぶりを「自分は今、世界一、優しさを受けてるんじゃないかって錯覚するほど」と書き込んでいる。

記事は、女性が中国のアイドルであるスー・ルイチーの熱烈なファンであり、彼女の「日本のたこ焼きが気になる」という一言をきっかけに大阪でたこ焼き店を開くほど以前から中国に親しみを持っていたと紹介。それでもメディアの報道による影響を多少なりとも受けていたようで、女性が今回の事故を通じて「中国の見え方が大きく変わった。街で出会う人、そこで生きている人たちは本当に優しいし温かい」とつづったことを紹介した。

その上で「私たちは往々にして、メディアや断片的な情報によるナラティブに流され、直接触れ合ったことのない人々を誤解し、時には嫌悪感を抱いてしまう。しかし、真の接触が起こり、真に困難な状況に直面したとき、あえて『対立する側』として描かれてきた普通の人々が、誰よりも快く手を差し伸べてくれるという現実に直面する」とし、「女性のエピソードが偏見や情報の濁流を排し、自らの実体験に基づいて他者を見極めることの重要性を問い掛けている」と結んだ。(編集・翻訳/川尻)

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