高市早苗首相の台湾有事を巡る発言以来、日本と中国の冷え込んだ関係は続き、日本で暮らす中国人のもとには中国国内にいる親戚や友人らから続々と心配の声が寄せられている。名古屋大学などで教壇に立つ董紅俊(ドン・ホンジュン)氏もその一人だ。

董氏は18日、中国SNSの微信(WeChat)を通じて日本での生活が大丈夫であること、これまでと変わらない生活を送っていることを発信した。

中国外交部は高市首相の発言から1週間後の11月14日に「中国人を狙った事件が多発」「中国人の安全環境が持続的に悪化している」などとして日本への渡航自粛を自国民に呼び掛けた。また、12月11日には地震の発生を挙げて同様の呼び掛けを行った。

こうした中、董氏は投稿の第一声で「私は無事です。どうか心配しないでください」と報告。これに続けて、最近、中国にいる親戚や友人から「外出する時は気を付けて」「何か困ったことがあれば大使館や領事館に連絡して」といった声が時折届いていることをつづった。

董氏によると、これ以外にも「地震や津波が起きるみたいだから早く帰国して」「もうすぐ戦争が始まりそうだから早く戻ってきて」との声が寄せられているという。

董氏は「こうして時間を割いてメッセージをくれるのは、自分のことを本当に心配してくれているからこそ」と感謝を示し、自身の今の生活を「これまでと同じように、いつも通り働いて、いつも通り食事をして、いつも通り展覧会に行ったりコンサートを聞きに行ったりしています。散歩にも(たいてい夜ですが)いつも通り行って、ぐっすり眠れています」と紹介。さらに、「もしかしたら私は幸運なのかもしれませんが…」と前置きしてから「日本で数十年間暮らす中で、私に危害を加えようとする日本人に出会ったことはありません」と付け加えた。

董氏は最後にSNSで見られる問題に言及。アクセス数を稼ぐために事実をねじ曲げる人がいるとして、こうした行為に強い非難の言葉を書き込んだ。

(翻訳・編集/野谷)

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