仏RFIの中国語版サイトは23日、「中国が米国の半導体関税を気にしない理由」と題する仏経済メディア、ラ・トリビューンの記事を紹介した。

記事はまず、米国が23日、中国の技術力の台頭を抑制することを目的とした措置として、2027年6月から中国製半導体に関税を課すと発表したことに触れた。

そして「この制裁は大きな騒動を引き起こすことになるが、実害は少ないだろう」と指摘。この発表は、バイデン政権が開始し、米通商代表部(USTR)が主導する、米国への中国製半導体輸入に関する1年間にわたる調査の結果であり、USTRが声明で「 中国が市場支配を目的として半導体産業を標的とすることは不当であり、米国の貿易を阻害または制限するものであり 、措置を講じる必要がある」と述べたことを紹介した。

記事によると、トランプ大統領は9月、半導体輸入について「 極めて近いうちに」「かなり高い」関税を課すと発表した。その1カ月前には、「チップと半導体」の輸入に100%の関税を課す意向を表明していたが、関税の発効時期については明言していなかった。

記事は「火曜日(23日)の発表は、北京の技術進歩に対抗するという米国の決意のように聞こえるが、実際には影響はほとんどないと予想される」と指摘。経済複雑性観測所(OEC)によると、24年の中国のチップ輸出額は460億ドル(約7兆1760億円)に達したが、うち米国市場向けはわずか22億ドル(約3432億円)相当の半導体だったと伝えた。

さらに、オックスフォード・アナリティカの最近の調査によると、米国は、台湾や韓国、中国などの主要な半導体輸出国・地域から大量のチップを輸入しているのではなく、ベトナムやタイ、マレーシアなどの東南アジアの発展途上国から輸入しているとも伝えた。

記事は「米国の新たな関税は米国企業に打撃を与える可能性がある」と指摘。アップルやテスラなどカリフォルニアの多くの巨大テクノロジー企業は、デバイスや自動車を中国で製造していて、情報技術イノベーション財団(ITIF)が11月に発表した調査によると、中国製チップの米国への流入が減少すると、米国企業は最大770億ドル(約1兆6940億円)の損失を被る可能性があると伝えた。

記事によると、トランプ氏は懸念を抱くシリコンバレーを安心させようと、「米国内に工場を建設するか建設を約束するなら、税金を支払う必要はない」と述べた。(翻訳・編集/柳川)

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