米国防総省は23日、中国の軍事・安全保障に関する年次報告書を公表した。中国は2027年までの台湾進攻を可能にするため、軍事力を「着実に進展」させていると分析。
ロイター通信によると、第2次トランプ政権発足後、年次報告書の公表は初めてだ。報告書は中国が27年末までの態勢構築に向けて軍事力を「着実に進展させている」と前置き。台湾の頼清徳総統の発言などを理由に、中国軍が24年に台湾本島を取り囲むように実施し、公表した2度の演習などを挙げ、目標達成に向けて「上陸作戦を含む進攻やミサイル攻撃、海上封鎖といった選択肢の検証を進めている」と述べた。
中国による攻撃力は「アジア太平洋や周辺における紛争で、米軍のプレゼンスを「深刻に脅かす」恐れがある」とも記述。中国の「歴史的な」軍事力増強によって「米本土の脆弱(ぜいじゃく)性が増している」と危機感もにじませた。
さらに米国などの介入を想定し、軍事部門と民間部門の力を統合して「国家総動員で対応しようとしている」と主張。その一環で「政府関連組織が各国で世論操作などの工作に乗り出している」とした。
中国の核戦力に関しては、24年時点で600発台前半の核弾頭を保有していると説明。その上で、30年までに1000発以上の保有を目指しているとの見解を踏襲した。
モンゴル国境付近のサイロには固体燃料方式の米本土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「DF(東風)31」を100基以上配備した可能性が高いと指摘。
報告書は中国の航空母艦にも触れた。中国は「遼寧」「山東」「福建」の3隻を運用。4隻目の原子力空母の建造にも着手したとされるが、「35年までに計9隻の体制にしようとしているとの見通し」を示した。
米海軍の空母は計11隻で世界各地に展開している。中国の空母がインド太平洋地域で9隻になれば、軍事的な威圧は格段に強まり、日本にも大きな影響が出そうだ。
報告書はまた、中国指導部が「核心的利益」という言葉を拡大解釈し、「(沖縄県の)尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権主張にも適用している」との昨年までの見方を維持。「尖閣のほか、台湾や南シナ海、インド北東部の領有権主張にも使われている」と述べた。
ロイター通信は「中国は軍備管理協議の意向も示していないとみられ、同国の軍事的野心の高まりが改めて浮き彫りとなった」とも報じた。(編集/日向)











