台湾メディアの三立新聞はこのほど、台湾を発着する国際航空路線の状況を紹介する記事を発表した。台湾人が海外旅行の目的地として最も多く選ぶのは日本だが、台湾を代表する桃園空港を発着する便の路線で、輸送力(客席数)が最も多かったのは、意外にも日本路線ではなかったという。
台湾北部の桃園市内にある桃園国際空港は、首都機能を持つ大都市の台北市に近いこともあり、台湾を発着する国際便旅客機利用者の7割から8割が利用する、台湾きっての空港だ。そのことを考えれば、桃園国際空港と海外を結ぶ航空路線で、日本路線であってもおかしくはなさそうだ。
しかし、英国に本社を置く、世界最大級の航空関連データ提供会社のOAGによれば、航空会社が2025年に提供した座席数が世界で最も多かったのは、桃園空港と香港空港を結ぶ路線の683万2000席だった。2位以下はカイロ(エジプト)-ジェッダ(サウジアラビア)、クアラルンプール(マレーシア)-シンガポール、仁川(韓国)-成田、仁川-関西、ジャカルタ(インドネシア)-シンガポール、ドバイ(アラブ首長国連邦)-リヤド(サウジアラビア)、バンコク(タイ)-香港と8位までが続き、台北-成田は第9位で座席数は402万1000席だった。
旅行会社の経営者であり、旅行評論でも活躍している台湾人の瞿光復氏は、「台北-香港線は24時間体制です。このことは、主たる需要が観光目的ではなく(利用についての時間の柔軟性が求められる)ビジネス目的であることを示します。また、中型や大型の航空機が投入されています」と説明した。
ただし、台湾政府民用航空局による2025年1月から10月にかけてのまとめによると、台湾を発着する国際航空路線で、利用者が最も多かったのは日本路線の1364万人だった。第2位は香港で548万人だった。香港の場合には香港国際空港の1カ所しかないが、日本の場合には成田空港以外にも関西空港や羽田空港など多くの空港があり、航空便の発着場所を国と地域別にすれば、利用者数は香港線を大きく上回ることになる。
ただし、台湾-香港線が活況を呈していることも事実だ。その大きな理由の一つが、台湾と中国大陸部を行き来する人の多くが香港を中継点とすることが増えたからだ。
台湾-香港線の活況には、ロシアのウクライナ侵攻も関係している。台湾から欧州に行く場合、航空機がロシア上空を通過できなくなり、南側に大きく迂回して飛行することを余儀なくされるようになった。航空業界についての解説なども手掛ける、台湾での航空関連の人材育成などを行う団体の中華航空観光発展協会の廖玲恵会長によると、台北を出発して欧州に行く場合、香港で乗り継いだ方が航空券の料金が安くなり、所要時間も相対的に短いという。(翻訳・編集/如月隼人)











