フランスでは、政府がハリウッド俳優のジョージ・クルーニーさんとその家族に国籍を授与したことが、物議を醸している。政府側は「文化と国際的影響力への貢献」を強調して弁明しているが、移民政策が日増しに引き締められる中で、この例外的な国籍授与は公平性と二重基準に関する論争を引き起こした。

米国では、トランプ大統領が不満を抱き、ソーシャルネットワークの投稿で皮肉った。フランスメディアのRFIが伝えた。

米国人俳優のジョージ・クルーニーさんと妻で人権派弁護士のアマル・クルーニーさん、および2人の子供は、12月26日にフランスの国籍を取得した。国籍授与の決定はフランス外務省の意向を反映したもので、根拠としたのは「傑出した貢献によってフランスの威信と国際経済関係を高めた者に国籍を授与できる」という「フランス民法典」の条項だった。フランス政府は、クルーニー夫妻が長期にわたりフランスに居住し、文化および国際的なレベルで顕著な影響力を持っていることが、フランスの国際的な名声を高める助けになるとの考えを示した。

クルーニーさんは2021年にフランス南部のバール県に別荘とブドウ園を購入し、米国とフランスの2カ所で生活を続けてきた。オスカーの栄冠を手にしたこのハリウッド俳優は、07年にフランスの「芸術文化勲章」を授与されていた。

フランスのロラン・ヌニェス内務相はこの決定について、「クルーニーさんは芸術家であり、俳優であり、プロデューサーだ。夫人は国際弁護士だ。彼らはフランス国内に居住しており、文化と思想の領域におけるフランスの国際的影響力を大いに強めた」と、支持する考えを示した。

一方で、マリー=ピエール・ベドレンヌ副内務相は、クルーニーさんのフランス語能力に問題があるのに国籍を授与したことに疑問を呈した。ベドレンヌ副内務相はラジオ局の取材に対して、クルーニーさんへの国籍授与に対して一部のフランス国民が「二重基準ではないか」との疑念を抱くことは理解できると述べ、政府はこうした決定が発するシグナルを慎重に考慮すべきと強調した。

クルーニーさんがフランス国籍を取得した時期は、フランスが日増しに移民政策を引き締めた時期に重なっていた。フランスでは1月1日に、長期滞在と国籍授与についてより厳格な規則が導入された。申請者はフランス国民としての知識に関するテストに合格しなければならず、フランス語能力の基準も高められた。

ハリウッド俳優のクルーニーさん、優遇されたフランス国籍取得で物議―仏メディア
ジョージ・クルーニー

仏テレビ局のフランス24がパリ市内の街頭で取材したところ、市民の一人は「私は不安になりました。二つの法律が存在すると感じるからです。一つはクルーニーさんに適用され、もう一つの法律は身分証がなく、極端な困窮の中で生活し、働くこともできない人々へと適用されるわけです」と述べた。ただし、「良いことだと思います。クルーニーさんはフランスで生活していますし。彼は特別な人物なのだから、これはフランスにとって良いことだと思います」と述べた人もいた。

クルーニーさんは自分のフランス語能力の問題を認めている。12月にフランスメディアの取材を受けた際には「私はフランス文化を愛し、あなた方の言語を愛しています。400日のレッスンを受けました。

相変わらず下手なままですけどね」と説明した。

米国ではトランプ大統領が、自らが立ち上げられたSNSの「トゥルース・ソーシャル」に、クルーニーさんのフランス国籍取得を皮肉る投稿をした。トランプ大統領は「よいニュースだ! 史上最悪の政治予言者のジョージ・クルーニーとアマル・クルーニーが正式にフランス国民になった」と書き込み、さらに「残念なことに、フランスはその壊滅的な移民政策により、深刻な犯罪問題に直面することになる」と付け加えた。

ジョージ・クルーニーさんは民主党の有力な支援者で、トランプ大統領を批判してきた。妻のアマル・クルーニーさんは人権派弁護士として、トランプ政権の移民政策や報道の自由に対する姿勢、国際的な条約からの離脱などを、法や人権の観点から厳しく批判してきた。(翻訳・編集/如月隼人)

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