米国のトランプ大統領は反政府デモが続くイランと取引する国からの輸入に新たな関税を課すと発表し、中国との間で続いている1年間の貿易休戦が揺らぐ可能性がある、と米ブルームバーグ通信が報じた。中国はイラン産原油の最も大きな買い手だからだ。

イランは長年、米中関係の火種となってきた。中東情勢をめぐり、米中は正反対の立場を取っている。

ブルームバーグ通信によると、中国は2022年6月以降、公式にはイラン産原油を購入していないことになっている。だが、第三者のデータ提供会社やトレーダーによれば、米国の制裁にもかかわらず、イラン産原油の流れは堅調だ。

中国は日量100万バレル余りの輸入を支えるため、西側の管理外でサプライチェーンを構築。大幅な値引きで販売されるイラン産原油は中国の民間精製部門にとって不可欠で、重要な燃料源となっている。

原油は通常、中国到着後に沖合の貯蔵施設で保管される。分析・船舶追跡会社のクプラーのデータによると、昨年12月後半時点でその量は5000万バレル超と、約2年半ぶりの高水準に達していた。

トランプ大統領12日、「イラン・イスラム共和国と取引を行ういかなる国も米国とのすべての商取引で25%の関税を支払うことになる」とSNSに投稿。新たな関税は「即時発効」としたが、対象範囲や具体的な実施方法については詳細を示さなかった。

元米通商交渉官で現在はアジア・ソサエティー政策研究所に所属するウェンディ・カトラー氏は「この脅しはワシントンと北京の貿易休戦がいかに脆弱(ぜいじゃく)かを浮き彫りにしている」と指摘。「たとえトランプ氏が実際にこの関税威嚇を実行しなくても、二国間関係や米中が築こうとしてきた信頼にはすでに一定の損害が生じている」と語った。

トランプ大統領と中国の習近平国家主席は昨年10月末、韓国での首脳会談で貿易対立をめぐる休戦に合意。これにより、米国は中国産レアアース(希土類)へのアクセスを確保した。ハイテク製品や軍事兵器の製造に不可欠なレアアースの生産は中国が支配しており、米中対立のさなかには中国が輸出規制を課していた。

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)によると、10月の貿易休戦後、中国製品に対する米国の平均関税率は40.8%から30.8%に低下した。新たな関税の脅しはトランプ大統領が今年4月の訪中を予定する中で、休戦合意を覆しかねない。

中国外交部の毛寧報道官は13日の記者会見で、トランプ氏の関税発表について問われ、「中国は自国の権利と利益を守る」と述べた。

これに先立ち、米ワシントンの中国大使館は香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)への声明で、トランプ氏の脅しを「強要」と非難。中国政府は「正当な権利を守るため、あらゆる必要な措置を取る」と表明していた。(編集/日向)

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