英国メディアのロイターやフランスメディアのRFIはこのほど、台湾で初めて自主建造された潜水艦の海鯤が、潜航試験を実施した話題を取り上げた。RFIはこの潜水艦が「中国を抑止する利器になる」と評した。

台湾が実戦配備している潜水艦は1980年代にオランダから購入した2隻だけだ。当初予定では計6隻を購入するはずだったが、中国がオランダに強い圧力をかけたために、2隻にとどまった。2000年代になると米国のブッシュ政権が台湾に潜水艦を売却することを決めた。ただし米国ではすでに通常動力の潜水艦を建造する技術がなかったために、ドイツやオランダから技術供与を受けて建造することにした。すると中国は技術の供与元の国に強い圧力をかけたので、この計画も見送られた。

台湾はそのため、潜水艦を自主建造する方針に転換した。当初予定では2024年の就役だったが計画は遅延した。海鯤が初の潜水実験を終了したのは26年1月29日にずれ込んだ。建造した台湾国際造船は、「国際環境の制限と中国共産党の圧力により、台湾の国産潜水艦プロジェクトは当初から各種の困難と試練に直面してきた」と表明した。

海鯤には米国や英国などの技術が多く導入されている。中国が圧力をかける中で、西側先進国の技術を導入できたことは、台湾の外交面で「突破」を果たしたと評価できる。海鯤の建造費用は493億6000万台湾ドル(約2400億円)で、ロッキード・マーティン社の戦闘システムを採用し、米国製のマーク48(Mark48)重型魚雷を搭載する。

台湾は、27年までに同じタイプの国産潜水艦2隻を配備することを望んでおり、後続艦にはミサイルを搭載する可能性があると表明した。台湾国際造船は最終的に同タイプの潜水艦8隻を建造することを希望している。

中国海軍は原子力潜水艦を含む潜水艦を60隻程度運用しており、しかも空母も3隻運用している。中国大陸側と台湾側の兵力の差は歴然だ。しかし潜水艦の本領はその隠密性にあり、相対的に数量が少なくても、「威力」が喪失するわけではない。例えば、大陸側が仮に台湾上陸作戦を決行する場合には、陸上への兵員や武器の運搬で、台湾側の潜水艦に輸送船が攻撃されるという、極めて大きなリスクを覚悟せねばならなくなる。台湾国際造船は、台湾が新たに保有することになった潜水艦の役割を「抑止力を有する鍵となる戦略的能力だ」と説明した。

台湾はこのところ、自らよりも規模がはるかに大きな敵対者である中国を抑制するために、潜水艦、無人機、トラック搭載ミサイルのような機動的で柔軟なシステムを利用して「非対称戦争」を戦えるよう体制を整えている。台湾の頼清徳総統は25年11月、政府は国防のために40億ドル(約6200億円)を追加投入すると発表した。(翻訳・編集/如月隼人)

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