ドイツメディアのドイチェ・ベレはこのほど、米国が台湾にかつてなかった規模の武器売却をする動きが進んでいる状況を紹介する記事を発表した。中国側は猛反発しており、4月に予定されているトランプ米大統領の訪中の実現に、不透明感すら出てきたという。
2025年12月には米国から台湾への総額約111億ドル(約1兆7400億円)の武器売却が決まった。売却する武器は高機動ロケット砲システムのハイマース(HIMARS)や対戦車ミサイル、徘徊(はいかい)型自爆ドローン、榴弾(りゅうだん)砲、軍用ソフトウェア、その他の装備品の部品で、1回の売却決定での規模は過去最大だった。中国は同決定に猛反発した。
トランプ政権はさらに現在、台湾に対しての新たな武器売却を実現しようとしており、すべて実現すれば、総額は約200億ドル(約3兆1400億円)に上る見通しだ。新たな武器売却案では、飛来するミサイルを迎撃する「パトリオット」システム、中高度防空ミサイルシステムのNASAMS(ナサムス)など4システムの売却が挙げられている。
中国は、米国による新たな武器売却計画にさらに強く反発している。報道によると、事情に詳しい関係者が、中国は米国側に対して、この武器売却は、4月に予定されているトランプ大統領の中国訪問を「脱線」させる可能性があると伝えたという。
中国の習近平国家主席は2月4日にロシアのプーチン大統領とビデオ会談を行い、その数時間後にトランプ大統領と電話会談をした。トランプ大統領は自らが立ち上げたSNSのトゥルース・ソーシャル(Truth Social)を通じて、習主席との電話会談では台湾問題についても話し合ったと説明し、さらに、それ以外の話題も含めて、「すべて非常に積極的だった」と表明した。
しかし新華社の少し後の報道は論調が異なり、「習近平主席は(電話会談で)、台湾問題は中米関係の中で最も重要な問題だと強調した。台湾は中国の領土であり、中国側は国家主権と領土の完全性を守らなければならず、永遠に台湾を分裂させることは不可能だ。米国は対台湾武器売却問題を必ず慎重に処理せねばならない」と紹介した。
台湾側にも「お家の事情」が
この武器売却計画に不確実性を追加しているのが、台湾内部の「お家の事情」だ。台湾で国会に相当する立法院で、頼清徳を支える民進党は少数与党だ。最大野党の国民党には52議席があり、これに国民党寄りの、無所属の2人を加えると、54議席に達する。また、8議席を持つ民衆党も中国との対話を重視する立場であり、野党側が連携して政府が提出する巨額の国防予算を厳しく精査しているのが現状だ。
台湾の法律では、政府が巨額の支出を行う場合には、そのことを認める特別条例を成立させねばならない。しかし米国からの今回の武器購入については、特別条例の審議すら始まっていない。
台湾国防部の説明によれば、特別条例に記載された内容は、米国との生産ラインや納期などを含めた事前調整をすでに済ませている。また、米国政府は主要な売却兵器について、台湾側に「発注書案」を提供した。この「発注書案」は「見積書」に相当するもので、有効期限は3月15日までだ。通常ならば、「発注書案」が無効になれば、米国の軍需企業は生産ラインを他の受注に振り向けておかしくない。
台湾国防部は野党に対し、頼清徳政権が提起した予算案を承認するよう促し、他国の注文が生産スケジュールの中で優先的に処理される可能性があるため、台湾側のいかなる遅延も、急を要する武器引き渡しをさらに遅らせる可能性があると表明した。
トランプ政権は当初、台湾に対する新たな武器売却案を2月中に連邦議会に提出する計画だったが、一部の専門家は、議会への提出はトランプ大統領が訪中を終えた後になる可能性があると指摘するようになった。(翻訳・編集/如月隼人)











