2026年2月12日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、米国の最新の「国家安全戦略」における対中姿勢のあいまいさがアジア太平洋の同盟国に深刻な信頼の危機をもたらしているとする独紙「南ドイツ新聞」の分析記事を掲載した。

記事は、トランプ米大統領の「アメリカ・ファースト」に主導された戦略思考の下、米国の対中戦略はますます不明確になり、アジア太平洋の同盟国との安全保障上の約束が絶えず揺らいでいるとの見解を示した。

その上で、最新の国家安全戦略報告書が中国の地域における勢力拡大を「米国人の安全、自由、繁栄に著しい影響を与えている」としながらも、中国を穏やかな言葉で「世界第二の強国」と位置づけ、攻撃的な拡張行為への批判を避けていると指摘。戦略国際問題研究所(CSIS)の分析を引き合いに、この姿勢がポンペオ元国務長官の対中強硬路線とは「鮮明な対比」をなしていると伝えた。

また、トランプ大統領が中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との対話を通じて「安定した平和、公正な貿易、相互に尊重する2国間関係」の実現を目指しており、軍事的な意思疎通チャネルの回復・強化も求めていると指摘した。

記事はこのほか、第2次トランプ政権では「政治的退却」路線が継続し、AUKUSやクアッドといった地域同盟体制の弱体化が続いていると指摘。今回の戦略は自ら「退却」する代わりに地域同盟国に「共同防衛」への一層の貢献を求めるとともに、「第一列島線」への確固たる防衛を改めて表明していると伝えた。

そして、戦略文書には台湾の明記こそないものの、台湾が日本やフィリピンと同様に第一列島線を構成する一部であり、その地政学的な重みは明らかだとの認識を示していることを紹介した。

記事は、アトランティック・カウンシルの山口亮氏が米国の安全保障戦略は不確実性に満ちていると指摘し、大規模な攻撃発生時の介入意思は示すものの中国の「挑発行為」への対応は曖昧であり、「日本は、状況がエスカレートした場合、米国がいつ、どのような方法で対応するのかを非常に懸念している」と述べたことに触れた。

その上で、米国がこれまで日韓両国が攻撃を受けた場合には核戦力の使用も含めて対応すると誓約してきたにもかかわらず、この誓約が現在も有効かどうかが「未知数」になっていると分析。中国が核兵器庫を急速に拡大しているという現実も突きつけ、米国の曖昧な立場が地域同盟の安定を根底から脅かしていると論じた。(編集・翻訳/川尻)

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