ホワイトハウスの関係者により、米国のトランプ大統領が3月31日から4月2日にかけて中国を訪問することが分かった。中国の習近平国家主席とのトップ会談に臨むことは確実だ。

しかし、この情報がもたらされる直前に、米国最高裁がトランプ大統領が発動した追加関税の多くについて「違法」との判断を示したことで、米中トップ会談その他の方向性が不透明になってきたという。フランスメディアのRFIが伝えた。

トランプ大統領の訪中日程が明らかになったのは20日で、米最高裁はその直前に、トランプ大統領が発動した関税政策について、多くの部分は大統領権限を逸脱しており違法な措置とする判決を示した。米最高裁が違法と判断した関税には、中国に対するものも含まれている。

トランプ大統領と習近平国家主席は2025年10月に韓国の釜山(プサン)で会談を行い、関税の再追加を回避する「貿易休戦」協定に合意した。中国側は米国産大豆の購入拡大、フェンタニル貿易の取り締まり、レアアース鉱石の供給維持を約束した。3月末からのトランプ大統領訪中の際の、習近平国家主席との会談の主な内容は、この「貿易休戦」の延長を巡ってのものとみられていた。しかし米最高裁の「追加関税の違法」の判断により、会談の方向性などで不透明感が生まれた。

米最高裁が違法と判断したのは、トランプ大統領が「国際緊急経済権限法」(IEEPA)を根拠に、フェンタニル問題と貿易不均衡が国家緊急事態を構成すると主張して、中国から米国に輸出される商品に、20%の追加関税を課したことだ。

ただし、1974年成立の米通商法301条や62年成立の米通商拡大法232条に基づく対中関税は依然として有効だ。301条は、不公正な貿易慣行への報復として発動され、232条は、特定の商品の輸入について、商務省が「米国の安全保障を脅かす恐れがある」と判断した場合、大統領が輸入制限や関税引き上げを命じることができると定めている。

トランプ大統領が最後に訪中したのは17年だった。

トランプ大統領は19日、数年ぶりに実現する訪中について「盛大な催しになるだろう」「規模が最大の外交場面の一つになる」などと説明した。

トランプ大統領および政権関係者は、世界に向けての関税措置は貿易不均衡という「国家緊急状態」に対応するためのものだと繰り返し強調し、貿易赤字が米国の製造業の基盤を弱体化させたとの考えを示してきた。

報道によると、ワシントンに本部を置く戦略国際問題研究所(CSIS)で中国経済の研究を担当する専門家スコット・ケネディ氏は、トランプ大統領は中国との貿易問題での駆け引きにおいて、これらの発言からは、トランプ政権側が実際には「守勢」に陥っており、特に中国側がレアアースの輸出制限を対抗手段にしたことで、守りの姿勢が強まったとの見方を示した。さらに米最高裁判所の判決により、中国側がトランプ大統領の対中交渉における材料や主導権が弱まったとさらに思わせる可能性があるという。

ただしケネディ氏によると、中国側が米国との交渉でさらに攻勢に出るとは考えにくい。ケネディ氏は中国側は「現在の二国間関係の動向に対して概ね肯定的な態度を維持しており、再度のエスカレートを回避することを希望している」と指摘した。

トランプ大統領はまた、2月の習近平国家主席との電話会談で、習近平主席は米国産大豆の買い付けをさらに増やすことを考慮すると述べたと説明した。中国は世界最大の大豆消費国であり、米国の農民はトランプ大統領の重要な政治的支持基盤だ。しかしアナリストは、中国は米最高裁の判決を受けて、新規の大豆買い付けの約束を履行する可能性が下がるとの見方を示した。

ワシントンに本部を置くピーターソン国際経済研究所のシニアフェローであるマーティン・チョルゼンパ氏は、米最高裁の20日の判決は、各国が直面する関税構造を変える可能性があると指摘した。もし他の国、特に東南アジア諸国に対する関税の下げ幅が対中関税よりも大きくなれば、中国商品の米国市場における相対的な税負担は上昇する可能性があるという。

経済問題以外にも、トランプ大統領と習近平国家主席の会談では、米国から台湾への武器輸出も重要な議題になるとみられる。

双方は25年10月の会談では台湾への武器輸出の話題を基本的に避けたが、習主席は2月の電話会談で、台湾への武器売却問題に言及した。米国政府は25年12月に、過去最大規模の111億ドル(約1兆7000億円)に達する台湾への武器売却計画を承認した。台湾側は、今後も米国が台湾への武器売却を続けることを希望すると表明した。(翻訳・編集/如月隼人)

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