台湾メディアのNOWnewsは23日、日本の半導体産業の再定位と人工知能(AI)ブーム下の製造戦略に関する専門家の見方を紹介した。
記事はまず、長年にわたりアジア経済の動向を注視してきた台湾の童振源(Tung Chen-yuan)駐シンガポール代表によると、2026年の日本の半導体市場規模は前年比11.9%増の501億6000万ドル(約7兆9754億4000万円)に達すると世界半導体市場統計(WSTS)が予測していることを紹介した。
そして「この成長は、AI需要の波及効果を反映しているだけでなく、近年の日本政府による国内製造業の振興とサプライチェーンの再建に向けた政策が徐々に奏功していることを示している」と伝えた。
記事によると、童氏は、日本の半導体政策について、新型コロナウイルスの世界的な大流行期間における短期的な補助金から、制度化された長期的な戦略的支援の枠組みへと移行し、先進的な論理プロセスと成熟した製造プロセスを並行して開発する「二本柱製造戦略」を徐々に形成し、再定位のための制度的基盤を築いてきたと分析する。
記事は、先進製造プロセス分野に関して、ラピダス社の進捗状況が同社の戦略的変革を観察する上で重要な指標となっていると指摘。北海道千歳市の半導体開発製造拠点「IIM(イーム)」の状況を詳しく紹介した。
そして、童氏によると、日本は先進的な製造プロセスに必要な産業エコシステムを強化するため企業間連携も同時に推進していると指摘。キヤノンが3月、ラピダスと共同で2ナノメートル画像処理チップを開発すると発表したことに触れ、開発費は最大400億円規模が見込まれ、経産省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が開発を支援すると伝えた。
また、日本政府がラピダスへの支援を1兆7200億円にまで引き上げたことにも触れ、国家資源を活用した先端製造業の振興という明確な政策意図を示すものだと伝えた。
記事は、北海道での先進製造プロセスの配置に呼応するように、九州の熊本では多国籍半導体製造クラスターが急速に形成され、日本のサプライチェーン再構築における重要な拠点となっていると指摘。その最も象徴的な投資が、台湾積体電路製造(TSMC)、ソニー、デンソー、トヨタ自動車が共同設立した半導体受託製造会社「JASM」だと紹介した。そして、TSMCの熊本進出に伴い、台湾の多くの設備、材料、部品サプライヤーも同様に事業拠点を設立し、TSMCを中心としたサプライチェーン・クラスターが徐々に形成されてきたことにより、九州は台湾、日本、そしてグローバル市場を結ぶ重要な製造拠点となり、地域サプライチェーンの統合がさらに促進されていると伝えた。
また、日本はメモリおよび上流材料分野における既存の優位性をさらに強化し続けているとも指摘。メモリ市場は、AI需要にけん引されて景気循環的な回復局面を迎えており、米マイクロン・テクノロジーの広島工場は日本政府からAI向け次世代DRAM量産開発支援として約5360億円の助成を受けることも紹介した。
記事によると、地政学的レベルにおいても日本の役割はサプライチェーンの再構築に伴い拡大している。日本は25年以降、材料・設備における強みを生かし、米国との技術・投資協力関係を深化させ、米国の半導体製造促進法(ICPA)によって構築されたサプライチェーンシステムにおいて重要な役割を果たしている。同時に、米国の技術安全保障政策にも協力し、中国に対する一部の半導体製造装置やハイエンド材料の輸出規制を強化している。
記事は「しかし日本の半導体産業は、生産能力の拡大と政策支援によって活況を呈する裏側で、構造的な課題に直面している」と指摘。中でも最も深刻なのが人材不足で、20年以上にわたる産業の縮小を経て半導体技術者の世代交代という深刻な問題を抱え、新設されたウエハー工場の中には、外国人技術者や多国籍企業との協業に大きく依存せざるを得ないところもあると伝えた。ほかにも、半導体製造はエネルギー集約型の産業であり、電力コストの高騰と、待たれる再生可能エネルギー供給の拡充が、ウエハー工場の長期的な操業コストに圧力をかけ続けていると伝えた。(翻訳・編集/柳川)











