フランスメディアのRFIはこのほど、同国有力紙のル・モンドを引用するなどで、イラン戦争の勃発は中国当局に衝撃を与えた一方で、その戦略の正しさを裏付けたと論じる記事を発表した。

イラン戦争は中国へのエネルギー供給を妨げ、中国当局に海外市民の安全確保という圧力をかけさせた。

中国は世界最大の石油および液化天然ガスの輸入国であり、戦争の影響で供給の不安定化と価格上昇の圧力に直面せざるを得ず、一部の製油所は減産し、民衆も原油価格の変動を実感している。同時に、イランおよび湾岸諸国に滞在する大量の中国人が安全上のリスクと不確実性に直面した。イラン戦争は中国の中東への依存と脆弱(ぜいじゃく)さを浮き彫りにした。

しかし、戦略面から見ると、この戦争は中国当局が進めるエネルギー転換、すなわち電気自動車(EV)の普及や再生可能エネルギーの開発という方向が正しかったことを証明した。中国政府はイラン戦争を受け、化石燃料への依存を低下させるエネルギー政策をさらに強化するはずだ。

ル・モンドは、中国の国家指導層は国家の安全保障を長期にわたり強調し、「ブラック・スワン」と「グレイ・リノ」のリスク防止を重視してきたが、イラン戦争はまさに現実の例証となり、国家安全保障を優先する思考回路にいっそうの正当性を与えたと伝えた。

「ブラック・スワン(黒い白鳥)」とは「ほぼあり得ないと信じられてきたが、発生したら壊滅的な打撃を受ける事象」で、「グレイ・リノ(灰色のサイ)」とは、「サイは体が大きく、向かってくれば地響きも聞こえるのに、まだ遠いから大丈夫と過信して逃げ遅れてしまう」ことを意味し、「高い確率で発生することが分かっているリスクであり、かつ大きな影響があると予測されているのになぜか軽視され放置されてしまう」状況を表す。

中国は外交と軍事において、他国の衝突への直接介入を回避し続けている。中国の一貫した非同盟の立場によるものでもあり、中国の湾岸地域における多くの利益が絡み合っているためでもあり、同時に中国が米国との正面衝突を回避したいと考えているためでもある。

ル・モンドはさらに、米国とイスラエルはイラン戦争で技術面での強みを示したが、同時に長期にわたる激しい衝突における消耗の問題を露呈したと指摘した。長期戦には工業力による下支えが必要だ。このことは、工業の産業体系が完備した中国の潜在的な強みと見なされている。

それに加えて、米国は中東で軍事力をより多く展開し続けることを余儀なくされ、アジア太平洋地域への「戦略転換」の能力がある程度削がれることになる。このことは中国にとって、間接的に有利な状況を生み出す。(翻訳・編集/如月隼人)

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