シンガポールメディアの聯合早報は29日、日中関係の緊張が一段と高まる中、日本企業が多く進出する中国江蘇省無錫市では日本との交流が減り、「日本風情街」からは和風の装飾が撤去されていると伝えた。

記事が香港メディア・明報の報道として伝えたところによると、この件についてある当局者は「中日関係の緊張を受け、無錫市政府と日本側との交流・協力活動は大幅に減っている」と言及。

また、和風装飾の撤去がほぼ終わっていることを説明した。

同市では1988年から日中友好のシンボルとなる桜の植樹活動が行われてきたが、記事は25日に開かれた今年の植樹式に「日本側は招待されなかった」とも伝えた。

また、現在の日中関係を巡って「高市早苗首相による『台湾有事』発言で関係が低迷する中、24日の現役自衛官による中国大使館への侵入がさらに悪化を招いた」とする一方、日本の回転ずしチェーン「スシロー」の中国での人気ぶりを紹介。「日中関係の摩擦がエスカレートし、交流や協力が減る中でもスシローは人気を維持している」とし、予約の取りづらさや一部店舗でSIMカード情報を使った入店番号の転売対策が導入されたことを伝えた。

記事によると、シンクタンク・海頤智庫の陳洋(チェン・ヤン)日本研究センター主任は「近年の中日関係は低水準で推移しており、民間の相互好感度も下がった」と話し、「無錫の日本風情街の消費が影響を受けているのであれば、商業的な調整が行われるのは当然のことだ」との見方を示した。

一方、中華全国日本学会の包承柯(バオ・チョンカー)理事は「無錫の対応は中国各地で日本関連の映画上映や公演が中止された動きと似通っており、日本政府の対応に対する強い不満を示すものだ」と言及。また、スシロー人気については「20年前と比べて中国の民間感情は理性的になっており、ナショナリズム的な態度は見られるものの、生活や飲食に関してはより多様で細やかな考え方になっている」と論じた。

中国・無錫で「日本風情街」から和風の装飾撤去―シンガポールメディア
無錫・新天地・東アジア国際風情街

前述の陳氏は「今回の両国関係の低迷は中国の政府と民間に一定の『体感温度差』があるように見えるが、実際には中国政府の表現は明らかに抑制的だ」とし、「日本製品ボイコット」が呼び掛けられていない点などを挙げた。

同氏は補足として、「政府は国家利益や安全保障の観点からより慎重で厳格な表現を用いる。民間の消費は価格や品質、利便性が重視され、より市場原理に従っている」と述べたという。(翻訳・編集/野谷)

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