中国のAI戦略に欧州は「規制の行き届いた博物館」化のリスク、スイス紙が警鐘―独メディア

2026年4月1日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国が電気自動車(EV)に続き人工知能(AI)とロボット工学で世界をリードしつつある一方、欧州は過去の栄光と過剰な規制に縛られ衰退に直面しているとするスイス紙に掲載された評論記事を紹介した。

記事が紹介したのはスイスの新チューリヒ新聞(NZZ)に掲載された文章。

著者はスイスのチューリヒ応用科学大学の講師2名と、中国・杭州電子科技大学の教授1名の計3名となっている。

文章はまず、2024年時点で中国のEVおよび車載電池の世界シェアがいずれも7割を超えたことに言及する一方で、欧州の自動車メーカーは20年まで中国製EVを軽視して対策を怠り、産業転換の好機を逃したと指摘した。

その上で、同じ失敗がAI分野でも繰り返されようとしているとし、3月に中国の全国人民代表大会で承認された第15次5ヵ年計画の核心はAIであり、中国は技術開発の段階から製造・教育・医療など全産業への社会実装を指す「AI+」の段階へ移行したと解説。AIによる生産主導権の確立が米国への対抗力となるだけでなく、少子高齢化への処方箋にもなるとし、中国のスローガンは「老いる前に豊かになる」から「老いながらも豊かさを維持する」へと変わりつつあると伝えた。

一方で、26年2月にドイツのメルツ首相が浙江省杭州市のロボット企業を視察したエピソードに触れつつ、中国が人型ロボットの量産に乗り出す間に欧州はデータ保護やAI法による規制環境の整備に追われていると批判。これは政府だけの失策ではなく社会全体の病理だとし、欧州の消費者がイノベーションに疲れデータセンター建設にすら反対する現状に危機感を示した。

文章は最後に、かつて欧州を偉大にした革新力を取り戻さなければ「美しく規制された博物館」に成り下がり、世界から取り残されると警告した。(編集・翻訳/川尻)

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