モンゴルという国について、皆さんはどんなイメージを持っているだろうか?

遊牧民が多いとか、日本人と顔が似ているとか、まぁ大体そんな感じだろう。筆者にとっても同様だ。


先日 そんなモンゴルの料理が食べられるレストランを訪れたところ、スタッフから「モンゴルのチーズ」なるお菓子を教えてもらった。

いや、でもコレ、私が知ってるチーズと全然違うんだけど。ボソボソしてるし常温保存だし、怪しくない? 一体どんな味がするんですか!?

・モンゴルのチーズ?
筆者が訪れたのは、岡山県赤磐(あかいわ)市にあるモンゴル&中華レストラン『ジンギスカン焼肉 友家』

現地出身っぽいスタッフが働き、予約すればゲル(モンゴルのテント)で食事できるという人気店。

そしてレジ横に並べられていたのが、今回ご紹介するモンゴルのお菓子だ。

スタッフが片言の日本語で説明してくれるには「モンゴルのチーズで、味や固さに種類がある」のだそう。
左の4点は個包装で、右の1点は1kg入りの大容量パックとのこと。

個包装の味は、左から順に原味(たぶんプレーン)、ヨーグルト味のソフト、ヨーグルト味のハード、キャンディ。

そして大容量パックはヨーグルト味とのこと。

日本で言う「チーズ」とはあまりにも形状が違うので 思わずスタッフを質問攻めにしてしまったのだが、彼女はそれほど日本語が堪能でなく、逆に筆者も外国語がほぼ喋れない。

ここは買って食べるのが一番だと思い、個包装は4袋で税込1000円、大容量パックは税込1000円の合計2000円で購入をしたのであった。

・チーズっていうか…
聞いていた通り、カラフルパッケージの方は個包装になっている。


清潔感もあるし少しずつ食べるにも便利だし、普通にモンゴル土産によさそう。美味しければ……の話だが。

対して大容量パックの方は割れたり千切れたりを避けるためか、ガリガリと固くてワイルドな印象。

ぜんぶ並べると、こう。

色と質感は似てるけど、ちょっとずつ形で差を付けられているのがわかる。だが……これをまとめて「チーズ」と呼んでいいんだろうか? とくにキャンディ。


・原味(プレーン?)
えぇい、食べてみなければ何も始まらない! 思い切ってまずは原味からいってみるぜ!

……口に入れた瞬間、その食感に驚いた。

ミルキーの赤ちゃんのような柔らかさと、乳脂肪が固まったようなポソポソ感が両立している。こんなお菓子、食べたことがない!

味としては、ヨーグルト風味の超ソフトキャンディって言うべきかもしれない。濃厚な乳の甘みがあり、プレーンのハズなのに既にヨーグルトみたいな酸味があるのだ。

乳脂肪の程度としては、アレだ。おしどりミルクケーキ
アレに水分をたっぷり加えて柔らか~くした感じだね。

結論、カロリーの味がして筆者は気に入った。

牛乳系のソフトキャンディが好きな人は結構ハマるんじゃないかな。ただし、酸味が苦手な人にはNGだ。

・ヨーグルト ソフト
プレーンの時点で酸味があるなら、ヨーグルトはどうなっちゃうんだよ? 立場がなくなっちゃうじゃん。

そう思いながら食べ始めたヨーグルト味のソフトチーズ。


口に入れた瞬間、予感が的中したことを悟った。

……うん、酸っぱい。原味との違い、ある?

交互に食べたところ、たしかにヨーグルトの方が酸味が強い気もする。しかし違いはわずかで、比べてようやく「違うかも?」と感じる程度。

つまり、この食べ物がいかにモンゴル人にとって大切か、ってことなのかもしれない。

だってホラ、日本人だって出汁をとる時にカツオ・イリコ・トビウオ(あご)・サバとか使い分けるじゃない。
たぶん出汁の概念を持たない国の人から見たら、ぜんぶ「フィッシュエキス」でしょ。

本当のところは知らないけど、そういうことにしておこう。

・ヨーグルト ハード
食べる前からわかる。コレはさっきのヨーグルト味のソフトチーズと同じ味がするハズだ。

そう思いながら口の中に放り込んだところ、今度は予想を裏切られた。

ソフトタイプに比べると大幅にしっとり感が減り、固くてポソポソとした食感になる。先ほどまでは口の中で練って溶かすように食べたが、今回は粉を固めたものを咀嚼しながら味わう感じ。

水分が減ったことにより味が濃くなって乳脂肪感が強まり、先ほどよりも30%ぐらい「おしどりミルクケーキ」に近づいた。

乳脂肪大好き人間にとっては超旨い。気に入ったぜ!

・キャンディ
購入時に一番正体がわからなかったのがコイツだ。なんだよ、チーズのタブレットって?

見た目はラムネ、香りはヨーグレット。そう思うと親近感を覚えなくもない。

ひと噛みして、あまりの軽い食感に驚いた。サクサクと砕け、先ほどとは比にならないほどのあま~~い乳味の粉が口の中に広がる。

キャンディじゃない。こりゃ、脱脂粉乳を固めたヤツだ!

おそらく、日本人の口に一番違和感がない味だろう。濃厚過ぎて脳汁が出る。油断するとエンドレスで食べちゃいそうだぜ!

・大容量パック
今回買った中では唯一メーカーが違うチーズである。

「はいはい、ヨーグルトね」消化試合のような気分で口に入れたのだが、それは大きな間違いであった。

表面がガリガリと乾いて水分量が少なく、全体的にはねっちりとした固めの食感。噛んだ瞬間に「ウッッ」と声が出た。

先ほどまでの食べやすさとはうって変わり、羊やヤギの乳のような臭みが鼻に覆いかぶさってきた。

おまけに鋭い酸味があるものだから、筆者の脳はコレを腐敗と判断しかけているのだろう。頭の中で黄色信号が点滅しているのを感じる。

本能的に危険を感じてしまうほどに、野性味あふれるテイストである。

……想像に過ぎないのだが、個包装との違いは日本で言う「納豆」のようなイメージかもしれない。

本来は大豆をワラに包んで製造し、匂いや味にクセがあった納豆。しかしキツい匂いが嫌われるようになり、現代のスーパーに並ぶのはマイルドでアッサリとしたパック納豆ばかり。

ひょっとして、ひょっとするとだ。シルクロードの向こう側でも似たようなことが起きているのかもしれない。クセのあるチーズは若者に受け入れられないのかもしれない。

──そう思うと、なんだかモンゴルに親近感が湧いてきたよね。知らんけど。

・モンゴル土産にオススメ!?
結局最後まで「チーズじゃなくない?」という疑問は消えなかったが、特に乳製品が好きな人にとってはストライクなお菓子であるハズだ。

個人的オススメ1位はキャンディ。

サクサクと軽い食感でいくつでも食べられそう。ただし、一気にぜんぶ食べちゃうと太ること間違いナシ!

逆にワースト1位は大容量パック。

このクセの強さは、二度と食べたくないレベルかもしれない。どうしよう、あと980gぐらい残ってるのに。

(大容量パック以外は)どれも日本人の口に合う楽しい異文化食品だと思うので、見かけたらぜひ購入してみて! あと、このお菓子の正体を知っている人はご連絡ください!!

執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

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