ジェイ・Zとミーク・ミルは、NFL ニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー、ロバート・クラフト氏、NBA フィラデルフィア・セブンティシクサーズのオーナー、マイケル・ルービン氏らとともに、「REFORM Alliance」団体設立費用として5000万ドル(約54億円)の資金投入を約束した。仮釈放や保護観察法の規制下に置かれる人々を、5年で100万人減らすことを目標とし、また刑事司法制度改革への活動を行う。
フィラデルフィア・セブンティシクサーズの共同オーナーであるマイケル・ルービン氏は、ラッパーでチームの熱狂的なファンでもあるミーク・ミルと、何度も話し合ってきた。「ミークはよくこう言っていました。『マイケル、アメリカってのは2つあるんだよ』」水曜日、マンハッタンのジョン・ジェイ・カレッジで行われた記者会見で、ルービン氏は当時を振り返って言った。「私は、『兄弟、いったいなんの話だい?』と答えたものです」
そして2017年11月。ルービン氏は裁判所で、ラッパーが2年から4年の禁固刑を言い渡されるのを目撃。仮出所中にオフロードバイクでウィリー走行したことが、規定違反だとみなされたのだ。「1時間後、私のところに電話がかかってきました」とルービン氏は当時の状況を語った。電話の相手はミルだった。電話に出るなり、「言っただろう! アメリカは2つあるんだって!」とルービン氏はきっぱり言った。「確かにその通りでした。私は完全に間違っていたのです」と、ミルは返した。
この時の気づきが、REFORM Alliance設立の足掛かりとなった。
2つあるアメリカの片方を代表する人々はこの記者会見で、もう一方のアメリカの惨状に気づかされたようだ。「声なき人々の代理人」と自称するミルが手短に挨拶した後、ルービン氏は、「今まで全く知らなかった世の中の様々な事を、巨大な不正がまかり通っているということを、ミルから教わった」と述べた。
目からウロコの体験をしたのは、ルービン氏だけではない。「私は今まで刑務所に行ったことはありませんでした」と、クラフト氏も聴衆に向かって言った。「刑務所に行って、(ロビンの招待でミルに)会ったあと、家に帰ってもまったく眠れませんでした――私のような人間がいかに世間知らずであるか、ずっと考えていたのです」
ノヴォグラッツ氏もこれに同調する。
REFORM Allianceが目指すのは、仮釈放や保護観察法の規制下におかれる人の数を、この5年で100万人減らすことにある。「これ(現在仮釈放、または保護観察中の人数)は、刑事司法制度に置かれている人々の2/3にあたります。なのに、今まで(改革の対象として)全く注目されてきませんでした」とルービン氏は説明した。
「すでに大勢の団体が、現在服役中の200万人のための活動を行っています」と、ジョーンズ氏も続けた。長らく刑事司法制度の改革を呼び掛けてきた彼の言葉は、今回のイベントでもっとも説得力があった。
ジョーンズ氏はREFORM Allianceの戦略プランの概要も提示した。「我々がやろうとしていることは、受刑者に何百万もの弁護士をつけることではありません・・・我々は法律を改正し、政治を正したいのです」。
「新しい運動を始めるわけでもありません」と、さらに彼は続けた。「我々が今日ここに集まったのは、(刑事司法制度の改革を後押しする流れに)力を与え、人々の声を世に発信し、ずっと声をあげてきたにもかかわらず、ほとんど見向きもされなかった人々を救い上げるためです」。
REFORM Allianceの運営陣はこれ以上の詳細は明かさなかったが、間違いなく先を見据えているようだ。記者会見の間中、運営人は想定される批判に対して先手を打ち、刑務所の収容人数を減らすことはコミュニティの安全を脅かすものではないと強調した。「コミュニティの安全を保ちつつ、かつ政府の監視下に置かれる人の数を大幅に削減することは可能だと思います――(また)我々の安全を守る法機関に代わって、コミュニティの治安を保つことも可能だと思います」とルービン氏は述べた。
優れた実業界の例にもれず、REFORM Allianceの創始者たちは、刑務所が非常に金のかかる制度である点にもふれた。こういった主張は、政府の支出削減を望む財政保守派の耳にはよく響きそうだ。「納税者は(ミルを刑務所に)ぶちこむための費用を支払っています。
最後にルービン氏とその仲間たちは、刑事司法制度改革を、アメリカ政府がまともに機能しない原因である政党対立の枠組みから切り離すべきだと主張した。「これは民主党の問題でも、共和党の問題でもありません」とルービン氏。「善悪の問題なのです」ヴァン・ジョーンズ氏も、ファーストステップ法に関しては、両政党が党の垣根を超えて支援した点を指摘し、この問題に対する共党体制がすでに確立していることを示唆した。刑務所の収容人数削減を目指したこの法案は、昨年トランプ大統領が政府機関を閉鎖する直前に署名している。
「両政党がこのような混乱を引き起こしたのです」とジョーンズ氏。「残された道は、両党がREFORM Allianceの力を借りて、この混乱を終わらせることができるかどうかです」
フィラデルフィア・セブンティシクサーズの共同オーナーであるマイケル・ルービン氏は、ラッパーでチームの熱狂的なファンでもあるミーク・ミルと、何度も話し合ってきた。「ミークはよくこう言っていました。『マイケル、アメリカってのは2つあるんだよ』」水曜日、マンハッタンのジョン・ジェイ・カレッジで行われた記者会見で、ルービン氏は当時を振り返って言った。「私は、『兄弟、いったいなんの話だい?』と答えたものです」
そして2017年11月。ルービン氏は裁判所で、ラッパーが2年から4年の禁固刑を言い渡されるのを目撃。仮出所中にオフロードバイクでウィリー走行したことが、規定違反だとみなされたのだ。「1時間後、私のところに電話がかかってきました」とルービン氏は当時の状況を語った。電話の相手はミルだった。電話に出るなり、「言っただろう! アメリカは2つあるんだって!」とルービン氏はきっぱり言った。「確かにその通りでした。私は完全に間違っていたのです」と、ミルは返した。
この時の気づきが、REFORM Alliance設立の足掛かりとなった。
現在保護観察下に置かれている、もしくは仮釈放中のアメリカ人は推定450万人。彼らを規制する「不条理でナンセンスな法律」の変革を目指した、新しい取り組みだ。水曜日、ミルとルービン氏は組織の発足を発表。ジェイ・Z、実業家でありNFLのニューイングランド・ペイトリオッツ、メジャーリーグサッカーのニューイングランド・レボリューション、ジレット・スタジアムのオーナーである、ロバート・クラフト、活動家のクララ・ウー・ツァイ、投資家のダニエル・ローブ、ギャラクシー・デジタル社創設者兼CEOのマイケル・ノヴォグラッツらをはじめ、ビジネス界の大物やスポーツチームのオーナーらとともに、団体設立のために合計5000万ドル(約54億円)の資金を投入すると公表した(彼らは、大音量で流れるビートルズの「レボリューション」をバックに、ステージに登壇した)。団体のリーダーには、同じくこの場に同席していたTV番組の司会者ヴァン・ジョーンズ氏が抜擢された。「この団体は、2人の男たちによるバディ・ムービーとしてスタートしました」と彼はスピーチで言った。「そして今、アベンジャーズとなったのです」。
2つあるアメリカの片方を代表する人々はこの記者会見で、もう一方のアメリカの惨状に気づかされたようだ。「声なき人々の代理人」と自称するミルが手短に挨拶した後、ルービン氏は、「今まで全く知らなかった世の中の様々な事を、巨大な不正がまかり通っているということを、ミルから教わった」と述べた。
目からウロコの体験をしたのは、ルービン氏だけではない。「私は今まで刑務所に行ったことはありませんでした」と、クラフト氏も聴衆に向かって言った。「刑務所に行って、(ロビンの招待でミルに)会ったあと、家に帰ってもまったく眠れませんでした――私のような人間がいかに世間知らずであるか、ずっと考えていたのです」
ノヴォグラッツ氏もこれに同調する。
彼は、ニューヨーク市の刑務所船を訪れた時のことを振り返った。その直前に、TV番組『Time: The Kalief Browder Story』を見たばかりだった――この番組のエグゼクティヴ・プロデュサーを務めていたのがジェイ・Z。この日はほとんど口を開かなかった―ー予備審判中に1000日以上も拘留された末、自殺に追い込まれたブロンクス生まれの青年を描いたドキュメンタリーシリーズだ。「真の意味が隠れているのに気づきました。ここは奴隷船なんだと。私もニューヨークシティに暮らしているのに・・・こんなことあり得るんだろうか?」とノヴァグラッツ氏。「私はいたたまれなくなりました」。
REFORM Allianceが目指すのは、仮釈放や保護観察法の規制下におかれる人の数を、この5年で100万人減らすことにある。「これ(現在仮釈放、または保護観察中の人数)は、刑事司法制度に置かれている人々の2/3にあたります。なのに、今まで(改革の対象として)全く注目されてきませんでした」とルービン氏は説明した。
「すでに大勢の団体が、現在服役中の200万人のための活動を行っています」と、ジョーンズ氏も続けた。長らく刑事司法制度の改革を呼び掛けてきた彼の言葉は、今回のイベントでもっとも説得力があった。
「制度の囚われの身となった400万人は、十分な支援を受けられていません。囚人を何度も何度も送り戻す、回転ドアのようなものです・・・陥れる罠ばかりで、十分なサポートはありません」。
ジョーンズ氏はREFORM Allianceの戦略プランの概要も提示した。「我々がやろうとしていることは、受刑者に何百万もの弁護士をつけることではありません・・・我々は法律を改正し、政治を正したいのです」。
「新しい運動を始めるわけでもありません」と、さらに彼は続けた。「我々が今日ここに集まったのは、(刑事司法制度の改革を後押しする流れに)力を与え、人々の声を世に発信し、ずっと声をあげてきたにもかかわらず、ほとんど見向きもされなかった人々を救い上げるためです」。
REFORM Allianceの運営陣はこれ以上の詳細は明かさなかったが、間違いなく先を見据えているようだ。記者会見の間中、運営人は想定される批判に対して先手を打ち、刑務所の収容人数を減らすことはコミュニティの安全を脅かすものではないと強調した。「コミュニティの安全を保ちつつ、かつ政府の監視下に置かれる人の数を大幅に削減することは可能だと思います――(また)我々の安全を守る法機関に代わって、コミュニティの治安を保つことも可能だと思います」とルービン氏は述べた。
優れた実業界の例にもれず、REFORM Allianceの創始者たちは、刑務所が非常に金のかかる制度である点にもふれた。こういった主張は、政府の支出削減を望む財政保守派の耳にはよく響きそうだ。「納税者は(ミルを刑務所に)ぶちこむための費用を支払っています。
その間彼は、本来なら人を雇って(必要な)税金を支払うことができただろうに、全くできずにいるのです」とクラフト氏は言った。「社会に及ぼす影響を考えない、カッコーの巣のようなシステムです」
最後にルービン氏とその仲間たちは、刑事司法制度改革を、アメリカ政府がまともに機能しない原因である政党対立の枠組みから切り離すべきだと主張した。「これは民主党の問題でも、共和党の問題でもありません」とルービン氏。「善悪の問題なのです」ヴァン・ジョーンズ氏も、ファーストステップ法に関しては、両政党が党の垣根を超えて支援した点を指摘し、この問題に対する共党体制がすでに確立していることを示唆した。刑務所の収容人数削減を目指したこの法案は、昨年トランプ大統領が政府機関を閉鎖する直前に署名している。
「両政党がこのような混乱を引き起こしたのです」とジョーンズ氏。「残された道は、両党がREFORM Allianceの力を借りて、この混乱を終わらせることができるかどうかです」
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