ニッキー・シックスはモトリー・クルーの回顧録『the dirt モトリークルー自伝』に掲載されている性的虐待に加担したエピソードに関して、本人は記憶がないそうだ。「俺は正気を失っていて、盛大に話を盛ったか、でっち上げたかだ」とシックス。
そして「あれは無責任な発言だった。すまない」と謝罪した。

モトリー・クルーのニッキー・シックスは、2001年(日本版は2002年㊥)に出版されたバンドの回想録『the dirt モトリークルー自伝』に登場する、パーティー中にシックスが性的虐待に加担した話の記憶がまったくないと、ローリングストーン誌に語った。

「本を読んだあとでも、あの話の記憶が思い出せない」と、シックスがローリングストーン誌に語った。「どうしてあんな話が登場するのか、まったく理由がわからないが、きっと俺が正気を失っていたか、盛大に話を盛ったか、話をでっち上げたかだろう。無責任な発言だった。すまない」と。

書籍『the dirtモトリークルー自伝』はバンドのメンバー全員と著者ニール・ストラウスが共同で執筆したもので、ある夜のパーティー中に、一人の女性に小部屋へ誘われたシックスが、その女性とその小部屋でセックスした記憶はあると言う。ことを終えたシックスは一度小部屋を離れたが、その直後にトミー・リーを連れて戻り、前と同じ相手とセックスしていると相手に思わせた。「(最初に)しばらくファックしたあと、その女にトイレに行くと行って離れた。パーティーに戻り、そこでトミーを見つけた」と、シックスは本に書いている。「そこで『なあ、一緒について来い』と言ってトミーの手を掴んだ。
『クローゼットに女がいる。何も言わずに俺の後ろから入れ。そして、俺が合図したらその女をファックしろ』と言った」と続く。

さらに「クローゼットの中で俺はトミーの背後に立っていた。トミーがファックしている間、その女は俺の髪の毛を掴んで『ニッキー、ニッキー』と悶えながら叫んでいた」と書かれている。

翌朝目覚めたシックスは、その女性が彼に電話して、前夜彼がレイプしたと言うまで、そのことを一切覚えていなかったと言う。その女性の言い分は、彼女がヒッチハイクして帰宅しようとしていたところ、彼女を車に乗せた男に襲われたとなっている。この話を聞いて「そのときの俺は度を超した状態だったに違いない」と思ったと言う。「最初、それに気づいて安堵したよ。だって俺はその女性をレイプしていないってことだから。でも、このことを考えるにつけ、レイプした可能性が高いと思うようになった。あのときの俺はドラッグで意識がとんでいて、何も覚えられない状態だったし、当時の俺はその状態よりもひどい状態になることだってあったしね」と続けた。


ローリングストーン誌の取材中、最初にこの話について聞かれたとき、シックスは異論を唱えながら「ニール・ストラウスと一緒にちょっとだけ脚色した話だ」と答えていた。これに対してクラウスは、契約でこの本に関する一切のコメントを禁じられているとの理由でコメントを拒否した。

のちにシックスがローリングストーン誌と共有した声明で、彼はこの話の記憶を思い出せないと言っている。『the dirtモトリークルー自伝』が執筆された頃の自分は「人生で最悪の時期だった」ためで、当時の彼は崩壊しかけた恋愛関係に対処するために飲酒とドラッグ使用を再開していた。「正直な話、ニール(・ストラウス)との取材のこともほとんど覚えていない」らしい。

そして、シックスの声明は「俺は2001年にリハリビ施設に入所した。今のようにクリーンで正気に戻ったリハビリ後にインタビューをするべきだったと本気で後悔している。あの本の中には本当にひどい言動がたくさん登場する。俺が言えることは、俺たちは数多くの過去の言動に後悔しながらも、そこから何かを学びながら生きているということ。そして、自分自身、家族、友人、周囲の罪のない人々を傷つける自分の言動を認めるということだ」と続く。

回想録『the dirtモトリークルー自伝』は2001年に出版され、米国現地時間3月22日にNetflixで放送される同タイトルのモトリー・クルーの自伝映画の原作となっている。シックスのレイプ話は映画に登場しないとはいえ、監督のジェフ・トレメインはローリングストーン誌の質問に対して「あれは影を差す部分だ。
この本には暗黒の時期がいくつか登場する。私はそういった話の多くが、当時、実際に起きたことだと思う。当時のロックのライフスタイルは本当にクレージーだったからね」と答えてくれた。

ニッキー・シックスの声明全文は以下の通りだ。

あの本は俺の人生が最悪だった2000年に執筆された。俺はしらふではなかったし、崩壊しつつあった恋愛関係に対処するためにドラッグとアルコールを常用していた時期で、今でもその対処法を後悔している。正直な話、ニールとのインタビューはほとんど覚えていない。

俺は2001年にリハビリ施設に入所した。今のようにクリーンで正気に戻ったリハビリ後にインタビューをするべきだったと本気で後悔している。
本を読んだあとでも、あの話の記憶が思い出せない。どうしてあんな話が登場するのか、まったく理由がわからないが、きっと俺が正気を失っていたか、盛大に話を盛ったか、話をでっち上げたかだろう。無責任な発言だった。
すまない。

あの本の中には本当にひどい言動がたくさん登場する。
俺が言えることは、俺たちは数多くの過去の言動に後悔しながらも、そこから何かを学びながら生きているということ。そして、自分自身、家族、友人、周囲の罪のない人々を傷つける自分の言動を認めるということだ。
編集部おすすめ