かねてから話題になっていたポケモンがハリウッド初めて実写映画化された『名探偵ピカチュウ』が、ついに日本で先行公開となった。
映画『名探偵ピカチュウ』は、ニンテンドー3DS用の同名ゲームソフトがベース。
本作が従来のポケモンシリーズと大きく違うのは、ピカチュウがなんと人間の言葉を話すというもの。しかもその声を務めているのが、『デッドプール』シリーズでもお馴染みライアン・レイノルズ。中年男性の声で、時に憎まれ口を叩きながらコーヒーをすするピカチュウの姿は、長年のポケモン・ファンにとってかなり衝撃的である。果たしてなぜピカチュウは話せるのか。その謎は、本作の中で解き明かされていくのだろうか……?
監督は、『モンスターVSエイリアン』(2009年)や『ガリバー旅行記』(2010年)などを手がけたロブ・レターマン。日本からは渡辺謙が出演し、他にもキャスリン・ニュートン(『パラノーマル・アクティビティ4』)やビル・ナイらが登場する本作は、大人も童心に帰って楽しめるシネマティック・アドベンチャーである。
今回Rolling Stone Japanでは、主人公・ティム役を務めたジャスティス・スミスへのインタビューを敢行。Netflixオリジナルドラマ『ゲットダウン』ではラップとダンスを披露し、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』ではIT技術者として重要な役どころを演じた彼に、映画についてはもちろん「大好き」だという音楽についても話してもらった。
─ジャスティスさんは、今回どんな経緯でティム役に抜擢されたのでしょうか。
ジャスティス:実は監督のロブ・レターマンからスカイプ越しに映画の全容を教えてもらったんだ。その時に聞いたのが、「これはポケモンの映画だけど、物語の中心にあるのは〈男の子の成長の物語〉だ」ということ。
─ポケモンのことはどのくらい知ってましたか?
ジャスティス:それこそポケモンカードで遊びながら育った世代でさ。姉や妹たちとしょっちゅう遊んでいた。ただ、僕ら家族揃ってズボラだから、公式ルールだとか読まずに独自のルールを作って楽しんでいたのだけど(笑)。それ以外にも、ゲームでは『ポケットモンスター 金』をよくプレイしていたし、NINTENDO64では『ポケモンスタジアムシリーズ』や『ポケモンスナップ』などで遊んでた。ポケモンのフィギュアだって何種も持っている。まさに世代ドンピシャなんだ。
─日本に住んでいるとなかなか実感できないのですが、ポケモンってアメリカでもそんなに人気なんですね?
ジャスティス:もう、めちゃくちゃ人気だよ! 1998年(北米)にスタート以来、ポケモンの存在自体は誰もが知っているし、たとえファンじゃなかったり詳しくなかったりしても、TVアニメのテーマソングは知っている。ピカチュウってのがどんな形をしてるのかも知れ渡っている状態だよ。もちろん、「Gotta Catch Em All」(サトシの名ゼリフ「ポケモンゲットだぜ!」の英語版)も有名だしね。
─あなたの演じた主人公の青年・ティムは、ニンテンドー3DS用ゲームソフト『名探偵ピカチュウ』に登場したキャラですが、どんなところにこだわりながら役作りや演技をしましたか?
ジャスティス:『名探偵ピカチュウ』というゲームは、あくまでもこの作品のベースとなっているだけだから、役作りの時にはある程度の自由が効いた。つまり、ゲームとは全く違うキャラとして演じることも認められていたため、そういう意味では少しプレッシャーから解放されたかな(笑)。演技の中でもこだわったのは、やはりティムの心の奥から湧き上がってくる「父親を探し出したい」「些細なことで喧嘩をしてしまった仲を、もう一度取り戻したい」という気持ち。そこが最も重要なテーマだからね。
©2019 Legendary and Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved. ©2019 Pokémon.
─人間ドラマはもちろん、推理やサスペンス、アクションと盛りだくさんでした。僕はドダイドスのシーンがメチャメチャ印象に残りました。
ジャスティス:あははは(笑)。僕も大好きだけど、撮影中はとにかくメチャメチャ怖かった!(笑) もちろん監督のロブは、役者に危ないことはさせないし、撮影中も細心の注意を払ってくれたけど、キャスリン・ニュートンと一緒にスタントなしでやらなきゃならないシーンも結構あってさ。大地がせり上がったり、地面が裂けて木々が倒れてきたりする中、2人で必死になって逃げるシーンとかね。木に見立てた鉄の棒にハーネスを付けてぶら下がっての撮影なんかもスタントなしだった。怖かったけど、ちょっとしたアトラクション気分も味わえたよ(笑)。
─ところでジャスティスは、なぜ俳優になろうと思ったのですか?
ジャスティス:難しい質問だ(笑)。僕は、自分で言うのはちょっと恥ずかしいのだけど、人とはちょっと違うなと小さい頃から思ってた。例えば、人を観察する視点などが、他の同級生よりも優れていると自覚していたんだよね。先生や友人の振る舞いをそのまま再現して笑わすことが得意だったし、それが自分でも楽しくて仕方なかったんだ。だから映画やTVドラマなどで、俳優たちが役になりきって演技をしているのを観た時にも、「自分もやってみたい」と強く思った。それがそもそものキッカケかな。両親がミュージシャンだったので、小さい頃から音楽にも触れていたのだけど、役者たちが演技をしている様子は、ちょっとセッションに似たところがあるなとも感じていたよ。
─それは面白いですね。じゃあ、両親も役者になることには賛成してくれた?
ジャスティス:もちろん。とてもクリエイティヴな環境にいたから、他の子たちと比べると芝居を「趣味」ではなく「仕事」としてやっていくことに対しても寛容だったと思う。
──ジャスティス自身も音楽に興味あります?
ジャスティス:大好きだよ。ただ、何かを専門的に習っていたわけではなくて、好きな楽器を楽しむように、真剣にと言うよりは楽しみながら演奏していたんだ。
─どんな音楽が好きなんですか?
ジャスティス:様々なジャンルの音楽を片っ端から聴いているので、特に「これ!」っていうのがあるわけじゃないんだ。インディ・フォーク系、シンガー・ソングライター系も好きだし、ヴォーカルもののジャズも好きだし……パンク・ロックも大好き。アーティストでいうと、確か日本人とアメリカ人のハーフだったと思うけどミツキ。彼女のことは大好きだよ。本当に美しい曲を書くよね。あとはモーゼス・サムニー、昔だとサイモン&ガーファンクル……もちろんボブ・ディランやビートルズは欠かせない。パンクだったらバッド・ブレインズとかね。
もうとにかくいろんな曲を、Spotifyのおすすめ機能で掘りまくっているし、いいと思ったらダウンロードしているよ。最近は「エクスペリメンタル・フォーク」というジャンルを聴くことが多いかな。たまに衝動的に、強いビートのものも聴きたくなるけどね。
─いま、挙げてくれたアーティストは僕も大好きなので、いつかそこから影響を受けたあなたの音楽が聴けるのも楽しみにしています。
ジャスティス:おっと(笑)。そうだね、いつかそんな時が来るといいな。ただ、さっきも言ったようにうちは両親がミュージシャンだから、音楽に対しては厳しいんだ。例えば家族と車に乗っていて、僕がラジオに合わせてちょっと歌ったりしただけで、「もっと横隔膜を使え」だの「ピッチは一体どうなってるんだ?」だの、いろいろ言ってくるから面倒くさいんだよ(笑)。音楽じゃなく芝居の世界へ行きたいという意識が芽生えたのも、そんな両親への反抗心だったところもあったんじゃないかな。ただ、もちろん今でも音楽は大好きだから……そうだな、音楽の道も考えてみるよ(笑)。
─では最後に、今後どんな役者になっていきたいかを聞かせてもらえますか?
ジャスティス:今までそんな質問されたことがないので、すごく難しいな……。僕は一人の人間としていろんな側面を持っているし、出来るだけ多くの役を通じて、それらを掘り出してみたい、探し出したいという気持ちがあるんだ。なので、似たような役を何度も繰り返すよりは、常に新しい役に挑戦出来るような、様々な演技ができるような、そんな人間になりたいと思っているよ。
©2019 Legendary and Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved. ©2019 Pokémon.
『名探偵ピカチュウ』
全国東宝系にて公開中
監督:ロブ・レターマン
出演:ライアン・レイノルズ
ジャスティス・スミス、キャスリン・ニュートン
渡辺謙、ビル・ナイ、リタ・オラ、スキ・ウォーターハウス
吹替:竹内涼真(ティム役)、飯豊まりえ(ルーシー役)
https://meitantei-pikachu.jp/
映画『名探偵ピカチュウ』は、ニンテンドー3DS用の同名ゲームソフトがベース。
ポケモンと人間が共存する街・ライムシティという街を舞台に、主人公ティムが相棒の名探偵ピカチュウと様々な謎を解き明かしながら、行方不明となった父親を探すというストーリーである。
本作が従来のポケモンシリーズと大きく違うのは、ピカチュウがなんと人間の言葉を話すというもの。しかもその声を務めているのが、『デッドプール』シリーズでもお馴染みライアン・レイノルズ。中年男性の声で、時に憎まれ口を叩きながらコーヒーをすするピカチュウの姿は、長年のポケモン・ファンにとってかなり衝撃的である。果たしてなぜピカチュウは話せるのか。その謎は、本作の中で解き明かされていくのだろうか……?
監督は、『モンスターVSエイリアン』(2009年)や『ガリバー旅行記』(2010年)などを手がけたロブ・レターマン。日本からは渡辺謙が出演し、他にもキャスリン・ニュートン(『パラノーマル・アクティビティ4』)やビル・ナイらが登場する本作は、大人も童心に帰って楽しめるシネマティック・アドベンチャーである。
今回Rolling Stone Japanでは、主人公・ティム役を務めたジャスティス・スミスへのインタビューを敢行。Netflixオリジナルドラマ『ゲットダウン』ではラップとダンスを披露し、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』ではIT技術者として重要な役どころを演じた彼に、映画についてはもちろん「大好き」だという音楽についても話してもらった。
─ジャスティスさんは、今回どんな経緯でティム役に抜擢されたのでしょうか。
ジャスティス:実は監督のロブ・レターマンからスカイプ越しに映画の全容を教えてもらったんだ。その時に聞いたのが、「これはポケモンの映画だけど、物語の中心にあるのは〈男の子の成長の物語〉だ」ということ。
父親といかに相互理解を進め、絆を深めていくことができるか、分かち合えなかった部分をどう乗り越えていけるのか?がテーマだということだったんだ。もちろん僕はポケモンの大ファンでもあったし、このような形で映画化されることもうれしかったし、やるならぜひ参加したいとも思っていた。だから、そこにロブの描く人間ドラマがあるというのなら、もう参加する以外ないなと思ったよ(笑)。
─ポケモンのことはどのくらい知ってましたか?
ジャスティス:それこそポケモンカードで遊びながら育った世代でさ。姉や妹たちとしょっちゅう遊んでいた。ただ、僕ら家族揃ってズボラだから、公式ルールだとか読まずに独自のルールを作って楽しんでいたのだけど(笑)。それ以外にも、ゲームでは『ポケットモンスター 金』をよくプレイしていたし、NINTENDO64では『ポケモンスタジアムシリーズ』や『ポケモンスナップ』などで遊んでた。ポケモンのフィギュアだって何種も持っている。まさに世代ドンピシャなんだ。
─日本に住んでいるとなかなか実感できないのですが、ポケモンってアメリカでもそんなに人気なんですね?
ジャスティス:もう、めちゃくちゃ人気だよ! 1998年(北米)にスタート以来、ポケモンの存在自体は誰もが知っているし、たとえファンじゃなかったり詳しくなかったりしても、TVアニメのテーマソングは知っている。ピカチュウってのがどんな形をしてるのかも知れ渡っている状態だよ。もちろん、「Gotta Catch Em All」(サトシの名ゼリフ「ポケモンゲットだぜ!」の英語版)も有名だしね。
しかも、1998年(北米)当時にファンだった人たちが大人になって、また子ども達にポケモンの存在を伝えているという、そういう繋がりがずっと続いてもいるんだ。
─あなたの演じた主人公の青年・ティムは、ニンテンドー3DS用ゲームソフト『名探偵ピカチュウ』に登場したキャラですが、どんなところにこだわりながら役作りや演技をしましたか?
ジャスティス:『名探偵ピカチュウ』というゲームは、あくまでもこの作品のベースとなっているだけだから、役作りの時にはある程度の自由が効いた。つまり、ゲームとは全く違うキャラとして演じることも認められていたため、そういう意味では少しプレッシャーから解放されたかな(笑)。演技の中でもこだわったのは、やはりティムの心の奥から湧き上がってくる「父親を探し出したい」「些細なことで喧嘩をしてしまった仲を、もう一度取り戻したい」という気持ち。そこが最も重要なテーマだからね。

©2019 Legendary and Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved. ©2019 Pokémon.
─人間ドラマはもちろん、推理やサスペンス、アクションと盛りだくさんでした。僕はドダイドスのシーンがメチャメチャ印象に残りました。
ジャスティス:あははは(笑)。僕も大好きだけど、撮影中はとにかくメチャメチャ怖かった!(笑) もちろん監督のロブは、役者に危ないことはさせないし、撮影中も細心の注意を払ってくれたけど、キャスリン・ニュートンと一緒にスタントなしでやらなきゃならないシーンも結構あってさ。大地がせり上がったり、地面が裂けて木々が倒れてきたりする中、2人で必死になって逃げるシーンとかね。木に見立てた鉄の棒にハーネスを付けてぶら下がっての撮影なんかもスタントなしだった。怖かったけど、ちょっとしたアトラクション気分も味わえたよ(笑)。
─ところでジャスティスは、なぜ俳優になろうと思ったのですか?
ジャスティス:難しい質問だ(笑)。僕は、自分で言うのはちょっと恥ずかしいのだけど、人とはちょっと違うなと小さい頃から思ってた。例えば、人を観察する視点などが、他の同級生よりも優れていると自覚していたんだよね。先生や友人の振る舞いをそのまま再現して笑わすことが得意だったし、それが自分でも楽しくて仕方なかったんだ。だから映画やTVドラマなどで、俳優たちが役になりきって演技をしているのを観た時にも、「自分もやってみたい」と強く思った。それがそもそものキッカケかな。両親がミュージシャンだったので、小さい頃から音楽にも触れていたのだけど、役者たちが演技をしている様子は、ちょっとセッションに似たところがあるなとも感じていたよ。
─それは面白いですね。じゃあ、両親も役者になることには賛成してくれた?
ジャスティス:もちろん。とてもクリエイティヴな環境にいたから、他の子たちと比べると芝居を「趣味」ではなく「仕事」としてやっていくことに対しても寛容だったと思う。
──ジャスティス自身も音楽に興味あります?
ジャスティス:大好きだよ。ただ、何かを専門的に習っていたわけではなくて、好きな楽器を楽しむように、真剣にと言うよりは楽しみながら演奏していたんだ。
なのでギターは少し弾けるよ。一人でいる時は歌も歌ってる。
─どんな音楽が好きなんですか?
ジャスティス:様々なジャンルの音楽を片っ端から聴いているので、特に「これ!」っていうのがあるわけじゃないんだ。インディ・フォーク系、シンガー・ソングライター系も好きだし、ヴォーカルもののジャズも好きだし……パンク・ロックも大好き。アーティストでいうと、確か日本人とアメリカ人のハーフだったと思うけどミツキ。彼女のことは大好きだよ。本当に美しい曲を書くよね。あとはモーゼス・サムニー、昔だとサイモン&ガーファンクル……もちろんボブ・ディランやビートルズは欠かせない。パンクだったらバッド・ブレインズとかね。
もうとにかくいろんな曲を、Spotifyのおすすめ機能で掘りまくっているし、いいと思ったらダウンロードしているよ。最近は「エクスペリメンタル・フォーク」というジャンルを聴くことが多いかな。たまに衝動的に、強いビートのものも聴きたくなるけどね。
─いま、挙げてくれたアーティストは僕も大好きなので、いつかそこから影響を受けたあなたの音楽が聴けるのも楽しみにしています。
ジャスティス:おっと(笑)。そうだね、いつかそんな時が来るといいな。ただ、さっきも言ったようにうちは両親がミュージシャンだから、音楽に対しては厳しいんだ。例えば家族と車に乗っていて、僕がラジオに合わせてちょっと歌ったりしただけで、「もっと横隔膜を使え」だの「ピッチは一体どうなってるんだ?」だの、いろいろ言ってくるから面倒くさいんだよ(笑)。音楽じゃなく芝居の世界へ行きたいという意識が芽生えたのも、そんな両親への反抗心だったところもあったんじゃないかな。ただ、もちろん今でも音楽は大好きだから……そうだな、音楽の道も考えてみるよ(笑)。
─では最後に、今後どんな役者になっていきたいかを聞かせてもらえますか?
ジャスティス:今までそんな質問されたことがないので、すごく難しいな……。僕は一人の人間としていろんな側面を持っているし、出来るだけ多くの役を通じて、それらを掘り出してみたい、探し出したいという気持ちがあるんだ。なので、似たような役を何度も繰り返すよりは、常に新しい役に挑戦出来るような、様々な演技ができるような、そんな人間になりたいと思っているよ。

©2019 Legendary and Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved. ©2019 Pokémon.
『名探偵ピカチュウ』
全国東宝系にて公開中
監督:ロブ・レターマン
出演:ライアン・レイノルズ
ジャスティス・スミス、キャスリン・ニュートン
渡辺謙、ビル・ナイ、リタ・オラ、スキ・ウォーターハウス
吹替:竹内涼真(ティム役)、飯豊まりえ(ルーシー役)
https://meitantei-pikachu.jp/
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