米テキサスのFort Works Artで先月まで開催されていた展覧会「Chaos and Cosmos」では、女性フォトグラファー、ケイト・サイモンの40年以上に及ぶキャリアを公開。

プライベートな一面をとらえた写真は、数々のロック界のヒーローや著名ミュージシャンらの世界を垣間見せてくれた。
サイモン本人が、貴重な写真とともに当時のエピソードを語ってくれた。

ザ・クラッシュ
「1976年の1stアルバムジャケット」英ロンドンにて

クイーン、マドンナ、ザ・クラッシュ、時代を動かしたアイコンたちの「素顔」の記録


ザ・クラッシュとは個人的に仲良しで、バーニー・ローズから彼らの写真を何枚か撮ってくれと頼まれたわ。リハーサル中に撮影に行ったんだけど、まさかアルバムジャケット用だとは思わなかった。自然体で絵になるから、シャッターチャンスを逃すことはなかった。(©Kate Simon/Courtesy of Fort Works Art)

パティ・スミスとロバート・メイプルソープ
1978年、米ニューヨークシティにて

クイーン、マドンナ、ザ・クラッシュ、時代を動かしたアイコンたちの「素顔」の記録


1975年にパリでパティと会って、それから親しくなった。1975年から79年ごろまで、定期的に撮影していたわ」(この写真の撮影は)「パティが『いますぐ来てちょうだい』って電話をかけてきたの。すごい勢いだった。行ってみたら、ロバートが一緒だったというわけ。この写真はスミソニアン博物館の収蔵品でもあるのよ。それを知ったとき、私はちょうど田舎にいて、わざわざハイウェイの路肩に車を止めて思いっきり叫んだわ。
※パティ・スミスの自著『ジャスト・キッズ』でもこの写真が掲載されている。
(©Kate Simon/Courtesy of Fort Works Art)

オジー・オズボーン
1975年、英ニューキャッスルにて

クイーン、マドンナ、ザ・クラッシュ、時代を動かしたアイコンたちの「素顔」の記録


イギリスのSoundsという週刊誌で仕事していたから、ザ・フーとか、レナード・スキナードとか、ブラック・サバスといったバンドのツアーに同行していたわ。
このオジーの写真は本当に気に入っているの、彼にはすごくチャーミングなところがあるのよね……「そのタトゥーはどこで入れたの?」って聞いたら、刑務所にいるときに自分で入れたんだって教えてくれたわ。(©Kate Simon/Courtesy of Fort Works Art)

キース・ヘリング/ウィリアム・バロウズ
1987年、米カンザスにて

クイーン、マドンナ、ザ・クラッシュ、時代を動かしたアイコンたちの「素顔」の記録


この写真は、(ビート・ジェネレーションの祭典River City Reunionの際に)カンザス州ローレンスのウィリアム・S・バロウズの自宅の庭で撮った。ウィリアムは80年代にこの辺に越してきて、すごく気に入っていたわ。猫を何匹も飼ってて、家庭菜園もやっていた。時々射撃場にも行っていたんじゃないかしら。(©Kate Simon/Courtesy of Fort Works Art)

フレディ・マーキュリー
1978年、英ウェールズ・スワンシーにて

クイーン、マドンナ、ザ・クラッシュ、時代を動かしたアイコンたちの「素顔」の記録


クイーンのツアーに同行していた時、サウンドチェックを終えてスワンシーのホテルに向かった。そこで『ボヘミアン・ラプソディ』のビデオを彼らと一緒に初めて見たの。オペラ調のパートではメンバー全員が笑い転げてたわ。(©Kate Simon/Courtesy of Fort Works Art)

セルフポートレート
1977年、撮影場所不明

クイーン、マドンナ、ザ・クラッシュ、時代を動かしたアイコンたちの「素顔」の記録


なんとなく直感で、フォトグラファーになれるんじゃないかと思ってた。それからザ・クラッシュのジャケット写真とか、ボブ・マーリーのアルバム『カヤ』のジャケット写真とかを撮れるようになって、私の勘は間違いじゃなかったと思った。やるべきことをやっているんだという感じがしたわ。被写体の役に立っているという間違いない感覚が最高ね。
写真が撮れない人は他の人に撮ってもらうしかないわけだから。(©Kate Simon/Courtesy of Fort Works Art)

アンディ・ウォーホル
1979年、米ニューヨーク州ブロードウェイ860番地ファクトリーにて

クイーン、マドンナ、ザ・クラッシュ、時代を動かしたアイコンたちの「素顔」の記録


このアンディ・ウォーホルの撮影は、Interview誌でグレン・オブライエンと組んでた時ね。ちょうどあの雑誌で仕事してたの。アンディのファクトリーがユニオン・スクエアにあったころで、彼のスタジオがInterview誌のオフィスの真向かいだった。だからしょっちゅう入り浸ってたわ。(©Kate Simon/Courtesy of Fort Works Art)

イギー・ポップ
2007年、米マイアミにて

クイーン、マドンナ、ザ・クラッシュ、時代を動かしたアイコンたちの「素顔」の記録


原点に戻って、私が駆け出しだったころに撮影したミュージシャンをまた撮りたいとふと思ったの。被写体になってくれた人はみんな、喜んで撮影に応じてくれた。彼らが写真というものの価値を理解して、尊重してくれたことに心から感謝しているわ。(©Kate Simon/Courtesy of Fort Works Art)

マドンナ
1983年、米ニューヨークにて

クイーン、マドンナ、ザ・クラッシュ、時代を動かしたアイコンたちの「素顔」の記録


1983年当時、私はFace誌のニューヨーク担当カメラマンだった。編集部からマドンナを撮影するように言われたんだけど、それが誰なのか知らなかったの。デビ・マザールと一緒に現れたマドンナはすごくきれいだったわ。あの日の彼女は最高の被写体だった。
顔や表情をばっちりカメラと合わせてくれる――あんなことめったにない。結局フィルム1本しか使わなかったのよ。(©Kate Simon/Courtesy of Fort Works Art)

ボブ・マーリー
1975年、英ロンドンのライセウム劇場にて

クイーン、マドンナ、ザ・クラッシュ、時代を動かしたアイコンたちの「素顔」の記録


あれは1975年の7月。ロック界の全員が、ボブ・マーリーを観に集まっていた。ボブにとってのターニングポイントになった瞬間。私にとってもね。彼が(私のキャリアの)中心になったわけだから。1976年にジャマイカまで行って『カヤ』のジャケット撮影をして、1977年にはエクソドス・ツアーに同行した。でもこの写真は、あの時のステージ、あのコンサートのスピリットがにじみ出ているわね。(©Kate Simon/Courtesy of Fort Works Art)
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