20年前の1999年、blink-182は『エニマ・オブ・アメリカ』をリリースした。
2015年にデロングはblink-182を脱退し、それ以前から活動しているスペース・ロック・バンド、エンジェルズ・アンド・エアウェーブズに本腰を入れ始めた。宇宙研究にも取り組んでいた彼は2015年、UFOについての研究組織である「トゥ・ザ・スターズ・アカデミー・オブ・アーツ・アンド・サイエンス」を設立。同社は2017年のある出来事で、世の中の信頼を得ることができた。
2017年、ニューヨーク・タイムズ紙は、米国国防省が先端航空宇宙脅威特定計画に2200万円以上の予算を投じたと報道。この計画を率いていたのは元軍の関係者であり官僚のルイス・エリゾンド氏であるが、彼は今、プログラムを継続する場としてトゥ・ザ・スターズ・アカデミー・オブ・アーツ・アンド・サイエンスを選んだのだ。
そして2019年、UFOに関する新しいトピックがニューヨーク・タイムズ紙に掲載された。2014年から2015年にかけて、未確認飛行物体が米東海岸沖で毎日発見されていた、という内容である。UFOとされる映像も公開された。「そういう現象は、毎日目撃していた」と、10年間海軍に在籍しているパイロット、ライアン・グレイヴス中尉が証言。さらに彼は、「飛行物体を空中に飛ばしておくには、それに見合った量の燃料が必要だ。
デロングはヒストリー・チャンネルの新番組『アンアイデンティファイド:インサイド・アメリカズ・UFO・インヴェスティゲーション』にてエグゼクティヴ・プロデューサーを務めている。彼はエリゾンド氏やグレイヴス中尉、クリントン元大統領の大統領首席補佐官を務めたジョン・ポデスタ氏らと共に番組に出演。今回のインタビューでは、そんな多岐にわたる活動について聞いてみた。
-先日のニューヨーク・タイムズ紙の記事については、いかがですか。
トム:あの記事は、僕たちが議会に連れて行った現役の軍パイロットたちと議員とのやり取りがベースになってる。数週間前、ニューヨーク・タイムズ紙に、海軍に対して議会がUFOの正式な報告書をまとめているって記事も出てたんだけど、それも僕たちの功績だ。UFOを目撃したパイロットを議会に何度か連れて行ったことが、監査委員会や予算委員会の法に対して影響を与えたというわけさ。その過程で情報がリークして、新聞に出てしまった。でも僕たちが番組『アンアイデンティファイド:インサイド・アメリカズ・UFO・インヴェスティゲーション』で伝えてることも、まさにあの記事で書いてある通りだよ。
-公開されたUFOとされる映像について、説明してもらえますか?
トム:あれはガンカメラで撮影された映像だ。人々にあまり理解してもらえないんだけど、本当に遠くから撮られている。でも謎の物体にズームして、それを映し出した。映像では数インチしか飛んでいないように見えるけど、縮尺を考えると1時間で0から20000マイル飛んで行ったようなものなんだよ。小さい塊に見えるかもれないけど、実は大ごとだ。もし君がパイロットだったり、レーダー監視者や、軍事監視員だったりしたら、きっとその怖さがわかるだろうね。だって、普通じゃそんなことは起きないから。赤外線カメラには羽も、煙も映らなかった。でも飛行物体の形はわかるんだよ。扇風機や、ディスクのような形をしていて、境界線はぼんやりとしていた。
UFOの映像に「恐怖」を感じる理由
—その映像がなぜあなたにとって「恐怖」であり、危ないものなんでしょうか。
トム:だって、何だかわからないものを扱っているから。誰が乗っているのか、どうやって操縦しているかもわからない。エリゾンド氏がこう言っていた。「夜ベッドに行って、部屋に鍵をかけ、セキュリティのシステムをオンにして寝る。次の日の朝、血まみれの足跡が部屋中についている。
あと、それらのテクノロジーについても考えてみてほしい。第二次世界大戦の時、核爆弾を持っていたのはこの国だけだったことも。世界を奪ってしまうことができるパワーを持っていたんだ。でもこの未確認飛行物体に関しては、その何倍ものパワーがあると考えていい。彼らはタイプ1、タイプ2、そしてタイプ3に分けられるんだ。タイプ1は惑星のパワーをコントロールすることができて、タイプ2は太陽のパワーをコントロールすることができ、タイプ3は彼らの宇宙のパワーをコントロールすることができる。僕たちはタイプ1にすらなっていないんだよ。そして僕たちが発見したものは、タイプ2かタイプ3の生物かもしれない。わからないけど、彼らの持っている技術は、僕たちが持っているものの、はるか上を行っているかもしれないという事実は不安を煽る。彼らが僕たちに対して愛情を持っていると良いんだけど、それってこじつけみたいだよね。
—ニューヨーク・タイムズが公開した映像情報とトゥ・ザ・スターズ・アカデミー・オブ・アーツ・アンド・サイエンスと、どのような関わりがあるんですか?
トム:ビデオの機密情報が解除され、トゥ・ザ・スターズ・アカデミー・オブ・アーツ・アンド・サイエンスがそれを受け取ったんだ。
—なるほど。
トム:それ以外のことについては、ちょっと話したくない。つまり僕たちがニューヨーク・タイムズ紙に情報を持って行ったことがきっかけで、彼らはビデオを見つけることができたんだ。
—トランプ大統領が、これについて話しているのを見たことは?
トム:良い質問だね。わからないな。だけど、僕たちの努力によって、ホワイトハウスにいくつかの情報が伝えられたのは知っている。それが何かはわからない。たぶん、トランプの宇宙軍に関するコメントの中に、これらに関するデータや情報を入れ込んでいる可能性はあるけどね。
—宇宙軍については、良いアイデアだと思いますか?
トム:海のことをなんとかしようと思ったから、海軍を作るだろ? 陸に関することは陸軍がいる。空に関して言えば、空軍がいるよね。宇宙は今、実際に行くこともできるし、現実的になってきている。そしてそこには、何かがあるんだ。
ポップ・パンクの金字塔的アルバム『エニマ・オブ・アメリカ』
-先日リリースした「レベル・ガール」は、エンジェルズ・アンド・エアウェーブズとしては数年ぶりの新曲ですね。2006年にエンジェルズ・アンド・エアウェーブズを結成した当時、周りからの反応はどうでしたか? blink-182とはガラリと趣向を変えた印象でしたが。
トム:エンジェルズ・アンド・エアウェーブズは、常に時代を先取りしたバンドなんだ。僕のようにラモーンズなんかを聴いていた世代には、複雑なサウンドと構成だと思う。ファンのみんなは、僕がblink-182でプレイしないことを悲しんでいたから、僕たちを受け入れる準備ができていなかったように思うよ。でも僕は、自分自身が今までやってきたことは、5年先を見据えて先取りしていたんだ、と気づくようになった。今やっと、みんなが僕やっていることに再び興味を持ってくれて、「なるほど、わかったぞ!」って言ってくれる。僕がやることはすべて、そういう形になる傾向がある。僕がバンドにいた時、宇宙人を追いかける僕を見て、周りは僕が変人だと思っていた。僕は『1分だけ僕を信じてくれ』と言っていたんだ。でも今はこうしてUFOの話をインタビューでしている。
—では、blink-182の『エニマ・オブ・アメリカ』がリリース20周年を迎えた心境をお聞かせいただけますか?
トム:時が経つのは本当に早いし、僕が出来ると思っていた以上のことを成し遂げてきたことを実感するよ。そして僕がやっていることに対して、本当に感謝していることを伝えたい。みんなに喜んでもらえるように、僕も努力を続けるよ。
—『エニマ・オブ・アメリカ』は大成功を遂げましたが、あなた自身もその結果に驚きましたか?
トム:それはもう、すごく驚いたよ! 僕は音楽とUFOにずっと夢中になっていたから、どちらも成功できるチャンスがあるのかもしれないね。

1999年撮影。blink-182として活動していたトラヴィス・バーカー(左)、トム・デロング(中央)、マーク・ホッパス(右)(Photo by Jeff Kravitz/FilmMagic)
—あなたがblink-182のメンバーと会話を持つことについて、ネット上では騒ぎになっていますね。マーク(・ホッパス:Vo, Gt)と最後に話したのはいつでしょうか? 会話の内容は、どのようなものだったんでしょうか。
トム:マークとは2週間前に話したし、トラヴィス(・バーカー:Dr)とはいつも話してるよ。兄弟とはどんなに言い合いやケンカをしたとしても、「ああ、気にすることでもなかったな。ごめんごめん。僕が悪かった」ってことになるし、そこには愛と尊敬が溢れているんだ。そんなに大ごとでもないよ。一つ問題があるとすれば、僕たちは忙しすぎるってことだ。会社に貢献することは、僕の人生の中で最もプライオリティが高いこと。そしてエンジェルズ・アンド・エアウェーブズは、その会社の一環でもある。
エンジェルズ・アンド・エアウェーブズを結成した時、メディアミックスのアート・プロジェクトにしようと思っていた。どうやって、音楽、本、映画を一つにまとめるか? それらは独立した存在になりがちだけど、それぞれを上手く相互作用させることも出来るんだ。そしてエンジェルズ・アンド・エアウェーブズのために、エンターテイメント部を作った。そのうち一つが僕が多くの人と一緒に取り組んでいるUFOに関することなんだ。僕はこの話題については知識があるし、UFOに関して大きな舞台に携わることも、映画を作る準備も出来ていた。もし自分がこうして取り組んでいることをオープンにしなかったら、もう少し先に進んでいたかもしれない、とは思うよ。国家機密を取り扱うわけだから、ナーバスになる部分もあったしね。でも多くの人々が、UFOはジョークで、アルミの帽子か何かだと思ってる。そうじゃないんだ。真実の出来事だし、シリアスな内容なんだよ。僕は間違った方向に羽ばたいてるんじゃないって証明したい。これが冗談じゃないってわかってるからね。そんな考えに航空宇宙と科学の要素をプラスして、トゥ・ザ・スターズ・アカデミー・オブ・アーツ・アンド・サイエンスに成長していったんだ。
—あなたが blink-182で再びプレイすることはあるのでしょうか?
トム:しばらく時間が経ったら、もちろん、blink-182でプレイすることもあると思うよ。メンバーはみんなお互いを愛しているからね。ただ今は政府と一緒に仕事をしているし、自分の会社への出資金だって大きなものだ。僕は、自分が世界を変える車の運転席に座っているんだよ。だから僕が携わった過去の素晴らしいものを皆が愛してくれて、それを求めてくれたとしても、今はハンドルから手を離すことができない。僕のやっていることは人類に影響を与えることなんだ。でも、もしそれらが上手くいって、車が走りたい方向へ少しだけ動かせるようになったら、この話はもっと現実的になってくるだろうね。