─tricotは、2011年5月に自主レーベルBAKURETSU RECORDSを立ち上げて、DIYで活動してきました。正直、メジャーで活動するタイミングは何度かあったと思うんですけど、なぜこのタイミングでavexとの契約を決めたんでしょう?
中嶋:メジャーにいった方がいいのかという話し合いは何度かしていたんですけど、その時はあまりしっくり来ていなくて。1回目に話し合ったのは「スペースシャワー列伝ツアー2013」の後ぐらいで。そのときは、正直まだチームが固まっていなかったし、その体制でまだやれることがあるんじゃないかってことで、BAKURETSUでやることを選んだんです。その後ドラムが抜けて3人になってからは、メジャーどうこうというより、ライブを頑張らなあかんというところに必死で。(ドラムの)吉田さんが入ってきてくれて、今3年ちょいぐらい?
吉田:うん、そうやね。サポートを含めたら3年ぐらい。
中嶋: 3年ぐらい一緒に47都道府県を回ったり、アルバムを作ったりして、準備は整ったなというのが今で。これまでメンバー4人とマネージャー1人でやってきたので、もっとそれぞれのプロフェッショナルがいれば、より多くの人たちまでtricotの音楽が届くんじゃないかなという気持ちが生まれてきたんです。
─大前提として、バンドとしての形が整ったということが大きかったと。
中嶋:そうですね。
─吉田さんは、tricotに加入するプレッシャーはなかった?
吉田:tricotには、僕が尊敬している大先輩のドラマーが何人も参加していて。そこにプレッシャーを感じるというよりは、強大な敵がいてくれてよかったと燃えるタイプなんです(笑)。もちろん自分が入ってよかったとメンバーに言わせないといけないと思っていたし、今までのtricotから変化を見せるために、むしろ自分の要素を入れるようにしました。ただ、新参者がイキっている感じではなくて、みんなと足並み揃えてできるよう意識はしていましたね。
─海外でピクシーズと対バンをしたり、大きいメディアにも出たりしていたので、インディペンデントな方法でもやっていけるのかなと思ったんですけど、どういう部分をメジャーで強化したいと考えていたんでしょう。
中嶋:私たちは海外がいいとか日本がいいとか別にないんですけど、日本の人たちに日本で活動していると思われていないところがあって。実際は日本にいる割合の方が多いし、日本でライブをやっているんです。海外って言葉のパンチが強いから、「日本にいるときあんの?」とか言われるようになって(笑)。
ヒロミ:私たちは日本での活動をメインにやっているつもりではいたんですけど、やっぱり伝わってないんやなというところもあって。インディなスタイルでやってきたので、周りの人も「tricotは海外志向なんかな」とか「日本のメジャーなフェスには出えへんと思ってた」とかも言われて。

─キダさんはそのあたりどう感じらっしゃいますか?
キダ: これまでは少人数でやっていたので、よく言えば独自路線なんですけど、悪く言えば閉鎖的な感じになっていて。届けられる範囲がすごく限られてしまった。メンバー的にはもっといろいろな人に知ってもらいたいし、日本でももっと活動をしたい気持ちがあったけど、なかなかそれができなくて。
─1番客観的な形でtricotの状況を見ていた吉田さんは、そんなバンドの状況をどのように捉えていたんでしょう。
吉田:海外でめちゃくちゃ売れているかと言ったら、そんな実感はなくて。好きと言ってくれる方はたくさんいらっしゃるし、ありがたいんですけども、海外だけで食っていけるレベルでは全然ない。それで満足していたらあかんなとも思うし、海外でももっと売れたい。そのために日本で1回基盤を作り直さないという気持ちがありました。
─これからもtricotというバンドを長く続けていくための選択でもあったわけですね。実際、avexとの付き合いを始めてみていかがですか。
中嶋:avex自体にはバンドのイメージがあまりなかったんですけど、話してみたり条件を聞いたりしていると、海外に対しても寛容やし、新しい物好きなところもあって、ちゃんと受け入れてくれる感じがするのであまり不安はないです。まだavexと組んで2ヶ月ぐらいですけど、レコーディングをしたり、プリプロに入ったりしている分には今までと変わらへん感じはあって。曲に対しても、あーだこーだ言われへんし、嫌な意味でのメジャーのやり方にはまだぶち当たっていないので、ダサい感じにはならずにいけるんじゃないかなと思っています。そこはメジャーで活動しても守っていきたいなとは思っています。
─avex/cutting edge内にプライベートレーベルを設立するということで、レーベル名は決まったんでしょうか?
中嶋:決まりました! 今まではBAKURETSUだったんですけど、「8902」になります。変わったようで変わっていない感じがいいんじゃないかという気持ちと、8年間の想いも連れていきたいという気持ちでつけました。いろいろ考えたんですよ。ふざけたものから、よく分からんものまで。
キダ:「おまんじゅう」とか言っていたよな(笑)?
─レーベルの名前がですか(笑)?
中嶋:そうです(笑)。
ヒロミ:調べてもらったら、大人の事情的にアウトやったんよな。
中嶋:おまんじゅうを確認してくれるあたりがavexでよかったなって(笑)。
吉田:それはないよ、で止めずに確認してくれるのがいいよね(笑)。
中嶋:他にもいっぱいあったんですけど、全部真剣に真顔でやってくれて。次のワンマンのタイトルは「9才」って書いて「クサイ」と読むんですけど、A&Rのダンディな人が「クサイワンマンがどうの」って言っているのを見てグッと来ましたね。
─あははは。tricotは活動初期からユーモアがあるグループですもんね。
ヒロミ:ついつい、ふざけちゃうんですよね(笑)。
中嶋:ちょっと照れ屋なところもあるので、ふざけてごまかしたいというところもありますね。
キダ:真剣に遊ばないと、おもしろくないじゃないですか。それに付き合ってくれるavex、ありがとうって感じ。
中嶋:ありがとうって感じ(笑)。パワーワードやん(笑)。
ヒロミ:めっちゃ軽い(笑)。
─たしかに字になるとすごく軽いですね(笑)。
ヒロミ:THEかっこいい! みたいなことをやっているバンドはいっぱいいるから、そこに関しては「かっこいいバンド、ありがとうという感じ」なんですよ (笑)。tricotは曲で攻めているけど、全部ガチガチというよりふざけられるところをふざけていたほうがおもしろいと思っていて。そういうところも自由にやっているところが好きやなって自分でも思っています。
─そういうノリに吉田さんはすんなり入り込めたんでしょうか。
吉田:無理に入るわけでもなく、ほったらかしにしている感じでもないよね?
中嶋:ツッコミもしないですからね。居心地いいですよ、吉田さん(笑)。
ヒロミ:気づいたら、シャットダウンしているし(笑)。
中嶋:一緒にスタジオに入って、曲作りをして終わった後に話しかけたら、イヤホンしていて(笑)。
吉田:あまり自覚がないけど、ちょいちょいやらかしているっぽい(笑)。
中嶋:それが3人の中ではすごくネタになっていて。あー、もう今日の営業終わってたわって(笑)。
─その関係性が心地いいんですね。
中嶋:そうですね。変に突っ込んでくる人やと逆に居心地悪いんですよね。ツッコミが死ぬほどおもしろかったらいいけど、それはそれで疲れるもんなあ。
ヒロミ:ある程度、放置でいいと思います。
キダ:つっこまれればつっこまれるほど、もっとやりたくなっちゃうもんね。
中嶋:これぐらいがちょうどいい。
─O-EASTでの発表では、秋ぐらいにリリースという話をしていましたけど、レコーディングだったり曲作りだったりは進んでいるんでしょうか?
中嶋:収録曲も大体まとまってきて、爆祭と9才ワンマンが終わった直後の9月25日にシングルをリリースします!
─環境とか状況が変わるタイミングのリリースなので、新曲に関して何か新しい要素を加えたり、チャレンジをしたりしているんでしょうか。
中嶋:逆に今まで通りがいいよねって言っていて。avexからも、今までの感じで1回やってほしいと言われていたので、これまでの自分たちの曲を聴き返したりしてみて、どうやって作っていたんやろうこの曲、みたいなことを初めてちゃんと考えて作っていますね。4人以外の音を入れたりもしていないし、あえて構成をシンプルにしたりも難しくしたりもせず、これまでのtricotという感じの作品になると思います。
キダ:あ、サビのメロディから作ったりした曲はあるなあ。
中嶋:たしかに作り方はちょっと変えたりしましたね。これまでは主に先輩(キダ)のギターでスタートして、セッションでオケを完成させて、格好いいインスト曲を作ってから歌を乗せる感じだったので。歌を乗せてからアレンジしたり、それこそメロから作ったりとかというのは初めての作り方ですね。

─9月23日には「爆祭2019(-Vol.12-)」をTSUTAYA O-EASTにて開催します。どんなイベントにしたいと考えていますか。
中嶋:爆祭は何回もやってきたんですけど、これまでで1番大きいイベントになるし、出演してくれるバンドの数も多いんです。2ステージ使うのも初めてで、ちょっとずつフェスに近づいている感じがしていて。あと、ヒロミさんがカレーを作ります(笑)。tricotのイベントと関係ないところではやってはったんですけど、今回はtricotのイベントでやれるので、これまでの培ってきたカレーの腕を振る舞うときが来たというか(笑)。私も食べてみたかったので楽しみです。
ヒロミ:みんなに食べてもらえたらいいなと思って作ります!
─赤い公園、ayutthaya、DENIMS、Survive Said The Prophet、04 Limited Sazabysと、出演者が豪華ですが、どのような基準で選ばれたんでしょう。
中嶋:基本的に、同世代ということは意識していて。あまり先輩すぎず、下すぎずという感じでやりたかったんです。あとは単純に仲が良かったり、音楽が好きだったという基準で選びました。赤い公園とは縁があるというか、昔から仲良くしていて体制も最近変わったので、ここらでもう1回やりたいなと。向こうも準備が整ったぜという感じだと思うので、ここで一緒にできるのは嬉しいですね。
─そして翌24日には、ワンマンライブ「9才(クサイ)ワンマン」を行います。メジャーを発表したO-EASTでのライブとなりますが、どんなワンマンにしたいか、最後にお1人ずつ訊かせてください。
吉田:メジャーに行ったからといって意識的に変わることもないですし、ライブも観てもらって、tricotは次こういうところに行くんだなと、なんとなく見えるようなライブにできたらなと思っています。変わらないところも、進化するところもあるということがライブでも伝わったらいいなと。次は10周年やし、それに向けたステージにしたいですね。

キダ:9周年の企画なので、観に来る人たちからお祝いしてほしいです。
─お祝いってどういうことをしてほしいですか?
キダ:グッズをいっぱい買う(笑)。ご祝儀をたくさん積んでもらって。
ヒロミ:多めに買ってもらってね(笑)。
キダ:メジャーに行って「tricotどんなものやろ」と思っている人もいると思うし、もちろん初めて観る人もいると思うんですけど、それは一旦抜きにして、単純に今のtricotを観てほしいです。
ヒロミ:観に来てくれたお客さんももちろん、自分も最高やったと思える素敵な日にしたいです。それこそ関係者の人とか、エイベックスの人とかも、tricotに愛を注ぎたいと思ってくれる1日になればいいなって。やっぱり愛がないと、難しいと思うので。愛がより深まる日になればいいなと思います。
─では、最後はイッキュウさんお願いします。
中嶋:10周年に向けてという気持ちもあるんですけど、その前に一旦前祝いじゃないですけど、10周年の準備を思い切りやりたい。前回のO-EASTはツアー・ファイナルでavexを発表した場所なので、お祝いはしてもらったんですけど、今回は前日に爆祭もあるので、よりお祭り気分で来てほしいです。私たちは、前日のお祭りでいろいろなバンドのライブを観て胸も熱くなっていると思うので、気合いの入ったライブになるんじゃないかなと。ワンマン当日はシングルとして出す曲もやると思うので、次のtricotを目撃しに観に来てほしいなと思います。
<リリース情報>
tricot
『あふれる』
発売日:2019年9月25日
CD+DVD 2700円(税抜)
CD Only 1000円(税抜)
=収録曲=
1. あふれる
2. なか
3. あふれる Instrumental
=DVD収録内容=
あふれる Music Video
tricot ワンマン大反射祭Tour 4月28日 渋谷TSUTAYA O-EAST公演の映像を完全収録
<イベント情報>
tricot9周年企画「爆祭2019(-Vol.12-)」
2019年9月23日(月・祝)渋谷TSUTAYA O-EAST 開場14:30 / 開演15:30
tricot9周年企画「9才ワンマン」
2019年9月24日(火)渋谷TSUTAYA O-EAST 開場18:30 / 開演 19:30
詳細はこちら
「9才ワンマン」
https://tricot-official.jp/live/detail.php?id=1074811&c=media
「爆祭2019(-Vol.12-)」
https://tricot-official.jp/live/detail.php?id=1074810&c=media
■チケット料金
9/23公演スタンディング 5000円(税込)
9/24公演スタンディング 3500円(税込)
※3歳以下入場不可/4歳以上チケット必要
※別途ドリンク代必要
※整理番号順でのご入場となります。
※出演アーティストは変更になる場合がございます。予めご了承ください。
■公演に関するお問合わせ
HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999